表末注
2.海溝型地震の長期評価の概要(2005年1月1日算定値)
(海溝型地震の今後10,30,50年以内の地震発生確率)
  今回追加された情報
領域または地震名 長期評価で予想した
地震規模
(マグニチュード)
地震発生確率(注1) 平均発生間隔(注1)
(上段)
10年以内 30年以内 50年以内 最近発生時期
(下段:ポアソン過程を適用したものを除く)
南海トラフの地震 南海地震 8.4前後 同時 10%程度 50%程度 80%程度 114.0年(次回までの
標準的な値(注2)
90.1年)
58.0年前
東南海地震 8.1前後  8.5前後 10%〜20% 60%程度 90%程度 111.6年(次回までの
標準的な値(注2)
86.4年)
(注7) 60.1年前
三陸沖から房総沖にかけての地震 三陸沖から房総沖の海溝寄り 津波地震 Mt8.2前後
(Mtは津波の高さから求める地震の規模)
7%程度
(2%程度)
20%程度
(6%程度)
30%程度
(9%程度)
133.3年程度
(530年程度)
*()は特定海域での値
正断層型 8.2前後 1%〜2%
(0.3%〜0.6%)
4%〜7%
(1%〜2%)
6%〜10%
(2%〜3%)
400年〜750年
(1600年〜3000年)
*()は特定海域での値
三陸沖北部 8.0前後 ほぼ0%
〜0.1%
0.04%〜7% 20%〜40% 約97.0年
36.6年前
  一回り規模の小さい地震 7.1〜7.6 60%程度 90%程度 11.3年程度
 
 宮城県沖 7.5前後 連動 50%程度 99% 37.1年
26.6年前
三陸沖南部海溝寄り 7.7前後 8.0前後 30%〜40% 70%〜80% 90%程度以上 105年程度
107.4年前
福島県沖 7.4前後(複数の地震が続発する) 2%程度以下 7%程度以下 10%程度以下 400年以上
茨城県沖 6.8程度 50%程度 90%程度 15.5年程度
千島海溝沿いの地震(第二版) 十勝沖 8.1前後 連動 ほぼ0% 0.02%〜0.5% 9%〜20% 72.2年(注3)
1.3年前
根室沖 7.9程度 8.3程度 1%〜5% 30%〜40% 70%程度 72.2年(注3)
31.5年前
色丹島沖 7.8前後 3%〜8% 40%程度 80%程度 72.2年(注3)
(Mw8.2前後)(注4) 35.4年前
択捉島沖 8.1前後 8%〜10% 50%程度 80〜90% 72.2年(注3)
(Mw8.5前後)(注4) 41.2年前
ひとまわり規模の小さい地震 十勝沖・
根室沖
7.1前後 40%程度 80%程度 90%程度 17.5年
色丹島沖・
択捉島沖
7.1程度 60%程度 90%程度 90%程度以上 10.5年
(Mw7.7程度)(注4)
沈み込んだプレート内のやや浅い地震 8.2前後 10%程度 30%程度 50%程度 82.8年
沈み込んだプレート内のやや深い地震 7.5程度 30%程度 70%程度 80%程度 27.3年
日本海東縁部の地震 北海道北西沖の地震 7.8程度 0.002〜0.04% 0.006〜0.1% 0.01〜0.2% 3900年程度
約2100年前
北海道西方沖の地震 7.5前後 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 1400〜3900年程度
64.4年
北海道南西沖の地震 7.8前後 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 500〜1400年程度
11.5年
青森県西方沖の地震 7.7前後 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 500〜1400年程度
21.6年
秋田県沖の地震 7.5程度 1%程度以下 3%程度以下 5%程度以下 1000年程度以上
山形県沖の地震 7.7前後 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 1000年程度以上
171.1年
新潟県北部沖の地震 7.5前後 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 1000年程度以上
40.5年
佐渡島北方沖の地震 7.8程度 1〜2% 3〜6% 5〜10% 500〜1000年程度
日向灘および南西諸島海溝周辺の地震 安芸灘〜伊予灘〜
豊後水道の
プレート内地震
6.7〜7.4 10%程度 40%程度 50%程度 約67年
日向灘の
プレート間地震
7.6前後 5%程度 10%程度 20%程度 約200年
日向灘の
ひとまわり小さい
プレート間地震
7.1前後 30〜40% 70〜80% 80〜90% 約20〜27年
南西諸島周辺の
浅発地震 (注5)
九州から南西諸島周辺のやや深発地震(注5)
与那国島周辺の地震 7.8程度 10%程度 30%程度 40%程度 約100年
相模トラフ沿いの地震 大正型関東地震 7.9程度 ほぼ0%〜0.05% ほぼ0%〜0.9% ほぼ0%〜5% 200〜400年
81.3年前
元禄型関東地震(注6) 8.1程度 ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 2300年程度
301.0年前
その他の南関東の
M7程度の地震
6.7〜7.2程度 30%程度 70%程度 90%程度 23.8年
 +「ほぼ0%」は10-3%未満の確率値。
注1: 発生確率の算定基準日は2005年1月1日。これらの評価は、基準日を元に更新過程を適用。また、三陸沖から房総沖の海溝寄りの地震、三陸沖北部の一回り規模の小さい地震、福島県沖の地震、茨城県沖の地震、千島海溝沿いのひとまわり規模の小さい地震および沈み込んだプレート内の地震、日本海東縁部の秋田県沖の地震、佐渡島北方沖の地震、日向灘および南西諸島海溝周辺の地震、相模トラフ沿いのその他の南関東のM7程度の地震については、ポアソン過程を適用。
注2: 時間予測モデルに基づいて推定。
注3: 千島海溝沿いの区分けした各領域でM8程度のプレート間地震が繰り返し発生するとし、それらの発生間隔はどの領域でもほぼ同程度と仮定した。そこで、各領域の地震発生間隔(十勝沖 108.9年及び51.6年、根室沖 79.2年、色丹島沖 76.2年、択捉島沖 45.1年)の違いをばらつきと見なし、それらの値の平均値72.2年が平均発生間隔を近似するものとした。
注4: 過去の地震のMとMwの差が大きいため、Mwも参考として示した。Mwは「モーメントマグニチュード」のことである。地震の規模を表すマグニチュード(M)は、観測点における地震波(地震動)の大きさ(揺れの大きさ)の分布を使って算出するのに対して、Mwは震源の物理的な規模を表す地震モーメントという量を使って算出するマグニチュードである。地震の震源域の規模を反映し、マグニチュードの頭打ち(地震が大きくてもマグニチュードはその割に大きくならない現象)を回避できるために、物理的な意味が明確な指標である。
注5: これらの領域については、地震発生の特性を明らかにするための十分な知見が得られていないことや、長大な設定領域において発生する場所を特定できないこと等により、対象となる地震の平均発生間隔などを評価しなかった。
注6: 元禄型関東地震は、大正型関東地震の想定震源域が房総半島南沖〜南東沖へ拡大・連動したタイプとしているので、ここでは大正型関東地震と元禄型関東地震の発生確率を互いに独立して扱うものとは考えていない。
注7: 南海トラフで発生する地震のうち、東海地震については中央防災会議が国としての評価を「東海地震に関する専門調査会報告」(2001年)として公表しており、中央防災会議はこの報告の中で、東海地震がいつ発生してもおかしくないとしている。想定東海地震の震源域が単独で破壊した事例は知られていないため、過去の事例に基づいて発生間隔を推定するこれまでの長期評価の手法では発生確率を求めることはできない。
しかし、地震調査研究推進本部では、確率論的地震動予測地図(西日本試作版、2004年3月25日公表)を作成するにあたり東海地震の発生確率が必要であるため、以下の方法で求めた。
・平均活動間隔は「南海トラフの地震の長期評価」に想定東海地震の震源域の全域または一部地域が活動したと記載のある、明応東海地震(1498年)、慶長地震(1605年)、宝永地震(1707年)、安政東海地震(1854年)の4つ地震の発生間隔の平均値118.8年とした。
・最新活動時期は1854年安政東海地震とした。
・平均活動間隔のばらつきを表すパラメータは、長期評価が行われている東南海地震と同じ0.21を用いた。
・隣接する地域と連動する場合と単独で発生する場合が同一の発生間隔であると仮定した。
東海地震は隣接する地域との連動性のメカニズムが未解明であるため、発生確率を求めるためには、上記のようないくつかの仮定を行う必要があった。したがって、長期評価結果として公表している他の海溝型地震の発生確率と同程度の信頼度はないことに留意する必要がある。
確率論的地震動予測地図(西日本試作版)で用いた想定東海地震の確率
地震名 想定地震規模 地震発生確率 平均発生間隔
マグニチュード 30年以内
東海地震 8程度 84%(参考値) 118.8年(参考値)
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