平成15年2月現在

今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧


地震調査委員会は、主要な活断層や海溝型地震の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等を評価し、随時公表している。平成15年2月現在、主要98断層帯のうち26地域32断層帯(*)、海溝型地震のうち南海トラフの地震(東南海・南海地震)及び三陸沖から房総沖にかけての地震(宮城県沖地震を含む)について評価をまとめ公表している。

(*)これまでに評価・公表された断層帯のうち、糸魚川−静岡構造線断層帯は、地震調査研究推進本部(1997)による全国の主要な98断層帯の区分では3つの断層帯(北部、中部、南部)に分けられており、また、中央構造線断層帯は5つの断層帯(金剛山地東縁−和泉山脈南縁、淡路島南部、讃岐山脈南縁、石鎚山脈北縁、愛媛北西部)に分けられているが、地震調査委員会はこれらをそれぞれ一括して評価している。このため、糸魚川−静岡構造線断層帯を構成する3つの断層帯、また、中央構造線断層帯を構成する5つの断層帯をあわせてそれぞれ1地域とすると、これまでに評価・公表された断層帯は、全国26地域32断層帯となる。

98断層帯と周辺海域の図

98断層帯のリスト

目次

1.活断層の長期評価の概要
2.海溝型地震の長期評価の概要
(参考) 1995年兵庫県南部地震発生直前における確率


1.活断層の長期評価の概要

(陸域の活断層から発生する地震の今後30,50,100年以内の地震発生確率等)

注1: 確率は、評価時点に依存しない「新庄盆地断層帯」、「長町−利府線断層帯」、「砺波平野断層帯(呉羽山断層帯)」及び「鈴鹿東縁断層帯」を除き、「伊那谷断層帯」、「山形盆地断層帯」、「布田川・日奈久断層帯」及び「伊勢湾断層帯」は2002年当初時点での値であり、それ以外は、2001年当初時点での値。「糸魚川−静岡構造線断層帯」、「神縄・国府津−松田断層帯」及び「富士川河口断層帯」については、長期評価を発表した際には確率を示していなかった。
注2: 地震調査研究推進本部(1997)による全国の主要な98断層帯の区分では、糸魚川−静岡構造線断層帯は北部、中部、南部の3つに分けられている。牛伏寺断層は中部の一部であり、長期評価では「牛伏寺断層を含む区間」がどこまでか判断できないとしている。なお、最新活動時(1200年前)には、北部と中部が同時に活動した。
注3: 三浦半島断層群は「主部」と「南部」からなる。表には主部を構成する2つの断層帯の評価結果を示した。南部の評価の概要は以下のとおり。

マグニチュード:6.0程度もしくはそれ以上、過去の活動が十分明らかではないため30年確率は不明

なお、主部を構成する衣笠・北武断層帯と武山断層帯が同時に活動する場合は、衣笠・北武断層帯が単独で活動する場合と同程度もしくはそれ以上の規模の地震が発生すると評価されている。その長期確率はそれぞれが単独で活動する場合の長期確率を超えることはないとと評価されている。
注4: 櫛形山脈断層帯の地震発生確率の最大値は、平均活動間隔が3千年で最新の活動が6千6百年前の場合で、その時の地震規模はマグニチュード6.8程度である。今後30年以内の地震発生確率が3%以上となる場合の地震の規模はマグニチュード7.2程度以下である。マグニチュード7.5の場合、今後30年以内の地震発生確率は0.5%未満である。
注5:

伊那谷断層帯は、境界断層と前縁断層の2つに分かれて活動すると評価されており、上表にはそれぞれの数値を示した。しかし、これらは1つの断層帯として同時に活動する可能性もある。その場合はマグニチュード8.0程度の地震が発生し、その長期確率は、境界断層と前縁断層がそれぞれ単独で活動する場合の長期確率を超えることはないと評価されている。

注6: 布田川・日奈久断層帯は、将来、北東部、中部及び南西部の3区間に分かれて活動すると評価されている。上表には30年確率の最も高い中部区間の数値を示した。他の区間の評価の概要は以下のとおり。

北東部 マグニチュード:7.2程度、30年確率:ほぼ0%。

南西部 マグニチュード:7.2程度、過去の活動が十分明らかでないため30年確率は不明。

なお、中部と南西部は将来同時に活動する可能性も否定できず、この場合は、マグニチュード8.0程度で、その長期確率は不明であるが中部区間の発生確率より大きくなることはないと評価されている。
注7:

砺波平野断層帯は、「東部」と「西部」からなる。表にはそれぞれの評価結果を示した。「呉羽山断層帯」は富山平野に位置する断層帯であるが、最近になって従来の見解よりも規模が大きく、その一部が砺波平野断層帯東部と近接していることが示された。このため、地震調査委員会は砺波平野断層帯とともに呉羽山断層帯も評価した。呉羽山断層帯は、単独では地震調査研究推進本部(1997)による全国の主要な「98断層帯」の一つとされておらず、全国の主要な98断層帯としてみれば砺波平野断層帯の一部に含まれることになる。

注8:

中央構造線断層帯は、5つに分かれて活動すると評価されており、上表にはそれぞれの数値を示した。しかし、これらは1つの断層帯として同時に活動する可能性もある。その場合はマグニチュード8.0程度もしくはそれ以上の地震が発生し、その長期確率は、5つの区間が個別に活動する長期確率を超えることはないと評価されている。

注9: 「新庄盆地断層帯」、「長町−利府線断層帯」、「呉羽山断層帯」及び「鈴鹿東縁断層帯」は、最新活動の時期が特定できていないため、通常の活断層評価で用いている計算方法(地震の発生確率が時間とともに変動するモデル)ではなく、地震発生確率が時間的に不変とした考え方により長期確率を求めている。このことに注意が必要。
注10: 伊勢湾断層帯は、将来、断層帯主部北部、断層帯主部南部及び白子−野間断層の3つに分かれて活動すると評価されている。上表には30年確率の最も高い白子−野間断層の数値を示した。断層帯主部(北部及び南部)の評価の概要は以下のとおり。

断層帯主部北部 マグニチュード:7.2程度、30年確率:ほぼ0%。

断層帯主部南部 マグニチュード:6.8程度、30年確率:ほぼ0%−0.002%。

なお、断層帯主部の北部と南部が同時に活動する可能性もあるとされ、この場合は、マグニチュード7.5程度で、その長期確率はそれぞれが単独で活動する場合の発生確率を超えることはないと評価されている。
「ほぼ0%」は10−3%未満の確率値。

2.海溝型地震の長期評価の概要

(海溝型地震の今後10,30,50年以内の地震発生確率)

注11: 南海トラフの地震(東南海・南海地震)及び宮城県沖地震の発生確率等の基準日は2001年1月1日、他の地震の基準日は2002年1月1日である。南海トラフの地震(東南海・南海地震)については、時間予測モデルを適用。三陸沖から房総沖の海溝寄りの地震、三陸沖北部の一回り規模の小さい地震、福島県沖の地震、茨城県沖の地震については、ポアソン過程を適用。 
注12: 時間予測モデルに基づいて推定。

(参考)1995年兵庫県南部地震発生直前における確率