広報小委員会報告書案についての意見公募の結果について


平成9年5月23日


地震調査研究推進本部政策委員会広報小委員会報告書案「地震調査研究推進本部における広報の在り方について(案)」についての意見公募実施結果は、下記のとおりです。



御意見募集期間:  平成9年4月22日〜5月18日(27日間)
実施要領:     「広報小委員会報告書案の公開と意見募集について」(別添1)による
御意見数:     22
御意見提出者数:  6人
頂いた御意見:   別添2



別添1


広報小委員会報告書案の公開と意見募集について

平成9年4月21日

科学技術庁研究開発局

地震調査研究課


地震調査研究推進本部政策委員会広報小委員会は、平成7年8月の設置以来、地震調査研究の成果を的確に活用した効果的な広報の在り方について、検討を行ってきたところですが、この度、この検討結果を、広報小委員会報告書案「地震調査研究推進本部における広報の在り方について(案)」として取りまとめ、公開して、下記のとおり、国民の皆様に御意見を頂くこととなりました。


1.募集期間:平成9年4月22日(火)〜5月18日(日)(27日間)

2.募集方法:

(1)報告書案の入手方法は以下のとおりです。

@郵送により入手を希望される方:
住所、氏名を明記の上、はがき、FAX又は電子メールにより下記宛先まで請求願います。なお、郵送料につきましては、自己負担(郵便料金受取人払い)とさせて頂きますので御了承下さい。
Aインターネットを通じて入手を希望される方:
地震調査研究推進本部ホームページ(http://www.adep.or.jp/sta/welcome.htm)内の「広報小委員会報告書案に関する意見募集について」に掲載されています。

(2)御意見を送付される方は、以下の募集要領に則して必要事項及び意見を記入の上、

上記募集期間内に下記宛先まで、郵送(募集期間終了日の消印まで有効)、FAX又は電子メール(テキストファイル形式)で送付願います。
(募集要領)
・御意見は自由に御記入下さい。記入に際しては、御意見を述べる箇所の目次該当部分(例:3.(1))を明記した上で、必ずその理由を記入して下さい。
・一度に複数の御意見は記入せず、原則1意見を御記入願います。
・御意見とその理由は、400字以内で簡潔にまとめて下さい。
・氏名、職業(所属)、連絡先(例えば、電子メールアドレス、住所、電話番号)を明記されるようお願いします。
・この募集要領に沿わない御意見の場合には、やむを得ず無効とさせていただくことがあります。
(頂いた御意見に対する対応)
広報小委員会は、御意見の検討を行い、報告書を決定します。検討結果及び報告書については、地震調査研究推進本部のホームページに掲載する予定です。

3.報告書案等請求、お問い合わせ、意見送付の宛先

住 所:〒100 東京都千代田区霞が関2−2−1
         科学技術庁研究開発局地震調査研究課
     「広報小委員会報告書案意見募集担当」
TEL:03−3503−8161(直通)
FAX:03−3503−8169
E−mail:herp@sta.go.jp



別添2: 頂いた御意見(敬称略)


1.
【御意見提出者】
(御氏名)石川裕
(御職業)民間研究所研究員

【御意見】
(目次 3.(1)(2))広報すべき事項について
(意見)地震工学に関する事項についても広報していく
(理由)「地震」の発生そのものに関わる情報が重要であることは論をまつものではありませんが、国民にとっては「その地震の際の被害」に関する情報もきわめて重要です。すなわち、「家屋や建物や地盤などの地域別の大略の被害概要」など地震工学に関わる事項についても広報していく必要があると考えます。

直ちにこうした情報を広報できる現状にはないかもしれませんが、将来的な課題として検討していただければ幸いです。


2.
【御意見提出者】
(御氏名)石川裕
(御職業)民間研究所研究員

【御意見】
(目次 3.(2))長期的な地震発生の可能性の表現方法について
(意見)長期的な地震発生の可能性の表現方法を見直す
(理由)長期的な地震発生の可能性を「数百年」の幅で捉えられています。例えば糸魚川・静岡構造線における地震発生の可能性の広報の際にも「今後数百年以内に」という表現が用いられていたと記憶しております。しかし、人間の寿命はたかだか百年であり、「数百年以内に」という表現は危機意識を希薄させるものと言わざるを得ません。したがって、この表現方法を例えば確率的指標(確率の絶対値は小さすぎて逆効果ですので、相対的な確率値が適切と思われます)とするなど、再検討すべきと考えます。なお、活断層の調査結果を反映させた地震発生確率の評価方法については私どもが下記の論文に発表しております。

「奥村俊彦・石川 裕・亀田弘行:活断層の活動履歴に関する情報を考慮した地震危険度評価土木学会第2回阪神・淡路大震災に関する学術講演会論文集 pp.49−561997.」


3.
【御意見提出者】
(御氏名)石川裕
(御職業)民間研究所研究員

【御意見】
(目次 5.(2))広報手段について
(意見)新聞、テレビで毎日定期的に地震情報を報道してもらうよう働き掛ける。
(理由)地震調査研究推進本部の活動はきわめて高く評価できますが、その価値が社会に反映されるか否かは、国民一人一人の意識をいかにして向上させるかにかかっています。国民の意識を向上させるには毎日(繰り返し)地震情報に接することが不可欠であり、気象情報のように毎日定期的に報道してもらうことが必要と考えます。「本日は有感地震なし」というのも重要な情報です。気象情報において確率表現(降水確率)が親しみやすくなったのも毎日報道されているからにほかなりません。ある日突然に地震情報が発表されても混乱するばかりで、かつ「正常化の偏見」が働きますから、国民の意識向上には決してつながらないと思います。



4.
【御意見提出者】
(御氏名)松澤暢
(御職業)大学助手

【御意見】
意見
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地震発生の可能性の評価等の情報について:
「国民が大きな不安を抱くと予想されるような事態が生じた場合には」と限定つきで、評価結果を広報するという基本姿勢は良いと思うのですが、ともすれば、パニックを防ぐとか、それまでの都市計画を優先させるとかいうことに目がいきがちです。過去の大森・今村論争に見られるように、単に「それはデマである」といったような評価ではなく、いろいろな意見を明記したうえでの評価を行なってほしいと思います。また、そのような評価に至った経緯もわかるような広報を行なってほしいと思います。日頃、十分な広報・啓蒙活動を行なっていれば、パニックはそう簡単には起きないと思いますので、国民を信頼した広報を期待します。
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5.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
「2.地震調査研究についての広報の基本目標」で「地震調査研究の広報の推進にあたっては、このような地震との共存ともよびうる考え方を社会の共通認識としてゆくことを、当面の基本目標とする」とうたっている。これは、全くもっともなことであり、賛成である。そしてこの目標の中に、地震発生直後の防災機関が行っている情報発表が含まれているとは思えない。しかし一方、「3.地震調査研究について広報すべき事項」では、「(3)発生した地震に関する情報の迅速な広報」をあげている。確かに発生した地震に関する情報を迅速に広報することは重要である。しかし、リアルタイムに広報することが「地震調査研究」の仕事であろうか?地震に関するリアルタイム的な情報の発表は、これまで防災関連機関が行って来ている。これを行おうというのであろうか?もし、そうであるのであれば広報が重複することになり、全く無駄である。どちらかを止めるか、統合すべきである。リアルタイム的広報は、24時間監視体制を必要とし、現推進本部にはない。ただ、「迅速な広報」でも、地震発生後の1週間以内程度に現地で知識普及型の広報を行うのは必要ではなかろうか?関心の冷めないう ちに、現地で行うことが重要であろう。従って、緊急防災に関する広報は、防災関係機関にまかせ、調査研究委員会はその分野では支援にまわり、広報でも知識普及型広報を担当するのが、本来の形ではなかろうか。



6.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
3.(2)

歴史地震とその災害の実体、および近代地震災害の特徴に関する広報活動も含めるべきである。


7.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
3.(3)のリアルタイムの広報は、必要ない。リアルタイム情報を複数の機関が行うことは混乱を生じさせる恐れがあり、リアルタイム情報の広報は防災機関にまかせ、推進本部はその支援を行う方が良い。



8.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
4.(1)

過去の大きな地震について、各地で何十年、百年などの時期に、防災機関、地元自治体、報道機関と協力してイベントを行い、震災記憶の風化を防ぎ、地震知識の普及と防災意識の向上をはかるべきである。


9.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
4.(2)

地震発生可能性の評価を行う場合には、評価を行う委員会の構成員の選出方法が専門家の納得できるものでなければならない。


10.
【御意見提出者】
(御氏名)石川有三
(御職業)国立研究所研究員

【御意見】
4.(3)すべて防災関連機関が行えばよい。



11.
【御意見提出者】
(御氏名)鷹野澄
(御職業)大学助教授

【御意見】
意見
5.当面の広報手段
(1)直接的な広報
○インターネットの活用
について、インターネットの専門家としての立場から一言:

直接的な通信手段としては、「インターネット」のみがあげられているが、インターネットは今後一層混雑することが予想されている上に、WWWによる広報手段はアクセスの集中を招き多数のアクセスがきたときに機能不全に陥るなどの問題がある。特に今日では、なにか事態が発生すると、1つのホストに一般の利用者から同時に何千ものアクセスが集中し、その結果、ホストの能力不足およびネットワークの回線容量不足となることが知られている。
防災関係機関、マスコミ関係者、学校等に的確に情報提供するには、衛星通信の放送機能等を利用して、必要な情報を常時提供し、受信側でパソコン等を利用してデータベース化して利用するタイプの専用の分散型の広報手段を整備すべきである。今日広く普及しつつある衛星デジタル放送技術やパソコンを利用することにより、このようなシステムを安価に構築することは可能になりつつあると考えている。


12.
【御意見提出者】
(御氏名)鷹野澄
(御職業)大学助教授

【御意見】
意見
5.当面の広報手段

(1)直接的な広報と

(2)間接的な広報

を読んで、不十分と思われる点について述べます:


当面実施すべき広報として、「地方自治体の長、消防、警察、ならびに民間の電気・ガス・鉄道会社等の公共的会社への、準リアルタイム地震情報の提供」を重要な1項目としてあげるべきと思います。これらの機関では、いわゆるEmargencyOfficeを整備し大地震等の突発事態の際の迅速な対応をとることが要求されています。従って、専門的なリアルタイム地震情報を流しても活用できるハズです。
阪神大震災の際、道路に一般車があふれて、消防などの緊急車両が身動きできなかったことを教訓とすべきです。一般の人が道路に出てパニックになるまえに、交通の遮断等の適切な処置を迅速に可能にするには、正確な強震動の(予測)情報が必要だと思います。
基盤観測網のみでは、正確な強震動の情報を出すことは困難ですが、まず、準リアルタイム地震情報の各EmargencyOfficeへ提供し、各機関の独自のシステムにおいてそういう情報が得られるようにするということは可能ではないかと思います。
また電気・ガス等の迅速な復旧・再開にも正確な強震動の情報が必要ですが、その為には準リアルタイム地震情報が活用できます。なお、もう止まっているからこれ以上の情報提供は不要ではないか?というのは間違いです。「止めるのは自動でできるがどこから先に復旧・再開するべきかが難しい」のです。


13.
【御意見提出者】
(御氏名)鷹野澄
(御職業)大学助教授

【御意見】
意見
1.地震調査研究についての広報の現状

を読んで、ここでの現状認識にいくつか疑問を持ちました。

マスコミによると阪神大震災の前は「西日本には大きな地震が起こらない」というような誤解が蔓延していたと言われています。もしそうであるならば、「これまでの地震調査研究に対する広報に何らかの問題があった」ハズですが、そういうことの解明と問題点の指摘が見あたりません。これまで「広報に積極的に取り組んでいる」のならば、そして何も問題がないのなら、「広報小委員会報告書」は単なる現状追認の意味しかないことになりますが、それでいいのでしょうか?


14.
【御意見提出者】
(御氏名)鷹野澄
(御職業)大学助教授

【御意見】
意見
1.地震調査研究についての広報の現状
1)気象庁
を読んで、

「1)気象庁」では、「報道機関を通じて」地震活動の広報と定期的な解説をおこなっているようですが、現実は、静岡新聞などの一部報道機関をのぞき、この情報は結果的に国民に報道されていません。気象庁は型どおり出したが、報道機関の判断によって国民へはその内容が報道されていない、という訳です。このように「マスコミまかせの広報」では、結局国民が、「大きな地震が起こってからでないと、その地域の地震について知ることができない」のはあたりまえです。広報委員会はこういう現状をどう改善しようとしているのがここの文章ではわかりません。



15.
【御意見提出者】
(御氏名)鷹野澄
(御職業)大学助教授

【御意見】
意見
1.地震調査研究についての広報の現状
2)建設省国土地理院を読んで、

建設省国土地理院は、「地震予知連絡会」を開催し「3カ月ごとに地震予知に関する総合的判断を学術的見地から行っている」とあります。我々はこれまでことあるごとに、予知連は関係機関の単なる情報交換の場であり、地震予知に関する総合的判断はしていないと聞かされていましたので、ここの文章をみて驚きました。もしそうであるなら政府の地震調査委員会とその役割は完全に重複することになります。国民からみると、予知連と調査委員会の役割分担が不明確です。そもそも2つ必要なのか?両方から広報している現状に問題はないのか?などについて広報小委員会の現状認識を伺いたいと思います。


16.
【御意見提出者】
(御氏名)橋本学
(御職業)大学助教授

【御意見】
「広報の在り方について」の意見を述べさせていただきます.
「1.地震調査研究についての基礎知識の普及」
第4節の 短期予知については 「一般的に」という表現は削除すべきです.特殊な場合は可能と取られます.東海地震を想定してのことでしょうが 東海地震については現状では研究者の間に大きな意見の隔たりが在り研究段階そのものです.



17.
【御意見提出者】
(御氏名)橋本学
(御職業)大学助教授

【御意見】
「広報の在り方について」の意見を述べさせていただきます.
「4.当面実施する広報」(2)−2)地震発生の可能性の評価等の情報について
第2節“社会的問題が発生する恐れがある場合には適切な広報”を “推進本部が社会
的問題が発生する恐れがあると判断する場合にはその情報に関連した幅広い情報の提供”に修正すべきです.学問と報道の自由を侵す可能性がある以上責任の所在を明らかにすべきであり また 地震予知が研究レベルであり多くの異なる意見がある以上一つの意見に権威を与えるような行動は避けるべきと考えます.次節も同様です.



18.
【御意見提出者】
(御氏名)橋本学
(御職業)大学助教授

【御意見】
「広報の在り方について」の意見を述べさせていただきます.
「4.当面実施する広報」(1)−1)広報する事項 ○じしんについての基礎知識
「地震防災関係機関や国民」を 「国民 地震防災関係機関 国土計画・公共事業関係機関等」に修正すべきです.原文では「国民」が付け足しの印象を与えます.まず 「国民」有木でしょう.また 阪神・淡路大震災が示すように大地震による被害は震源周辺に限らず 国全体あるいは国際的な経済活動に多大な影響を及ぼすことは明らかです.このようなレベルの被害を最小限に抑えることこそ「国土計画」であるはずです.各種公共事業がその目的の一つに防災を掲げることが多くなっていることから これら公共事業に地震調査研究の成果が反映されることが重要と考えます.



19.
【御意見提出者】
(御氏名)橋本学
(御職業)大学助教授

【御意見】
「広報の在り方について」の意見を述べさせていただきます.
「5.当面の広報手段」(1)直接的な広報
「各種委員会の審議の公開」を入れるべきです.地震調査委員会などを公開審議にしてどれだけ幅の広い意見があるかを国民に知らせることが もっとも有効な広報です.現状のように非公開にしてかぎられた情報しか提供しないのでは 不信感を与えるだけです.



20.
【御意見提出者】
(御氏名)橋本学
(御職業)大学助教授

【御意見】
「広報の在り方について」の意見を述べさせていただきます.
「5.当面の広報手段」(1)直接的な広報
地震予知連絡会 地震防災対策強化地域判定会および気象庁等の機関独自の広報について推進本部としてどう位置づけるのか 明確にすべきです.現時点で情報提供のルートが複数存在することは本報告でも指摘されており 受け手の国民が混乱していることは認識されているはずです.それこそ公開で議論しあうくらいのことをすべきではないでしょうか?



21.
【御意見提出者】
(御氏名)松岡喜保
(御職業)民間研究所代表

【御意見】
体積歪計(石廊崎、藤枝)の異常を例にとって
4.(1)体積ひずみ計の解説が必要である。

気象庁火山部の報道参考資料「地殻体積歪変化(石廊崎)」(960529)「体積歪計の観測値の変化について(藤枝)」(970226)では有効な情報となり得ない。
「藤枝市の歪計異常値報道(2/27静岡県地震情報研究所による住民意識調査)」によると、さほど重要な情報だとは思わなかった(24.7%)。地震の前兆とは思わなかった(7.3%)。何の意味があるのか分からなかった(3.6%)。
従って、この情報を聞いて、避難や非常持ち出し品の準備や点検をした人は14.7%にすぎない。


22.
【御意見提出者】
(御氏名)松岡喜保
(御職業)民間研究所代表

【御意見】
5.(2)

97.2.26の「藤枝市の体積歪計異常値報道は、「住民意識調査(97.2.27県情報研)によると、テレビで知った(52.7%)。知らなかった(44.7%)である。
知らなかった、が問題で、市の同報無線の屋外拡声器による広報も、注意して聞いてもはっきり分からないし、まして、屋内にいたら内容は殆んど分からない。
自主防組織の活用(隣組長による文書化回状もしくは伝達)が一番確実で速い。