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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. E-ディフェンスの長周期化(防災科学技術研究所)

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)5月号)

独立行政法人防災科学技術研究所(理事長:岡田義光)は、平成23年東北地方太平洋沖地震をうけ、平成24年4月より進めてきた実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)の長周期・長時間地震の加振に関わる施設改造工事が完成したことを受け、その加振性能を検証する公開試験を平成25年3月29日に行った。

東北地方太平洋沖地震に代表されるような長周期成分を含む長時間の地震波を再現するために、加振機への供給油の畜油を行うアキュムレータの増設による油量増強と、加振機へのバイパスバルブの追加による消費油量の削減などの工夫を施す計画で、長周期・長時間地震動の加振を具現化する改造工事を推進した。

当初の計画案では、東北地方太平洋沖地震での記録波の再現のためには既設のアキュムレータ蓄油量(20kl)の2〜3倍の油量供給が必要となるため、増設エリアと予算上の制約から単純にアキュムレータ設備を2〜3倍の規模に拡張することは現実的ではないと判断した。

そこで、加振時に使用する加振機本数を減らし、加振機に供給する油量を節約して、蓄油量の減少を極力抑えて、長時間の加振を可能となるように計画した。

具体的には、既存設備エリア内で増設可能な蓄油容量4klのアキュムレータ設備で賄うことを前提とし、震動台を駆動する24本の加振機のうち、台4隅8本の加振機を除き、16本の加振機に油の供給をバイパスさせる機能を付加した。また、加振の際に駆動する加振機に負荷が無く追従して動ける機能も備えている。


バイパス機能は、常時16本の加振機に施すものでは無く、加振波に必要な油量や揺れの特徴に合わせて、各加振機のバイパスのオンオフパターンを36通りから選べるものである。バイバスにより加振力の低下は否めないため、必要な震動台加振制御系および油圧制御系の改造も実施した。これらの改造により、E−ディフェンスでは、最大17分間もの大規模加振実験が可能となった。

なお、工事は、1年という限られた期間の中で行われたものであり、また、E−ディフェンス設備機器の定期点検及び日常の維持管理点検に加え、研究に係る加振実験も同時進行としたため、各業務の遂行調整に十分配慮し行った。

平成25年3月29日の震動台改造工事完了時に、震動台の性能を確認するため実大4層免震建物(鉄筋コンクリート造、寸法;11.8m×8.0m×14.9mH)を加振し、長周期・長時間地震動に対する建物の加振能力と震動台の加振性能の評価を実施した。


建物の質量は約700トンであるが、試験体周囲に設置された擁壁も含めると総質量は1,000トンを超える。さらに建物基部には、積層ゴム支承、弾性滑り支承、鋼材ダンパー、オイルダンパーの4種類の免震装置を配置し、等価固有周期は一般の免震建物の中でもやや長い約3.5秒とした。

この試験体への入力地震動として、東北地方太平洋沖地震(マグニチュードMw:9.0)において震源から174km離れた宮城県大崎市古川北町にて観測された地震動(K-NET古川波、計測震度:6強)を用いた。事前の解析結果によると、改造前では揺れ始めから1分半しか加振出来ないが、改造により観測された5分の長さで3方向の同時加振ができるようになった。あわせて、東海・東南海想定地震による名古屋・三の丸波(想定震度:5強)による加振も行った。

その結果、震動台上に質量1,000トンを超える試験体を積載した場合も、十分な加振力を保ちつつ、精度良く地震動を再現出来ることを確認した。免震建物に係る研究は、以降の実験に譲る話であるが、この確認試験では、床加速度を震動台加速度の約半分程度にまで低減でき、免震構造は有効に機能することも確認できた。

公開実験を視察した丹羽秀樹文部科学大臣政務官は、その後の取材で、「E−ディフェンスを活用した様々な実験を通して、国土強靱化計画に役立てたい。E−ディフェンスという名前だが、防災に繋がるオフェンスだと思っている。」と取材陣へ発言された。

このリニューアルしたE−ディフェンスを活用し、平成25年度は以下の研究に取り組む予定である。

<免震構造の安全性検証と高機能化> 免震装置に過大な変形が発生した場合に生じる、擁壁接触による衝撃の室内環境への影響評価とそれを低減させるための技術開発を行う。また、長周期の成分を多く含む地震動などに対しても優れた性能を発揮する、制御技術を応用した次世代免震構造の開発を目指し、2013年及び2015年度の実施に向けて計画中である。

<大空間建築物の耐震性能検証> 子供たちの学びの場であり、地域の避難拠点ともなる体育館では、天井の落下などが生じない、確実な安全確保の推進が必要である。2013年度には、小規模ながら実大の体育館を製作し、大規模空間で問題視されている天井の落下メカニズムの解明と対策について、構造体と非構造部材の相互の応答特性を調査して研究する。

次年度以降は、更に施設を活かした地震減災の研究を行うため、中高層鉄筋コンクリート建物、地盤の液状化についても推進する予定である。引き続き、各方面との連携・協調をお願いしたい。

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)5月号)

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