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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の見直しについて

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)1月号)

 科学技術・学術審議会(会長:野依良治(独)理化学研究所理事長)は、平成24年11月28日に総会を開催し、平成21年から5か年で進められている「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の見直し計画を取りまとめ、文部科学省設置法に基づき、文部科学大臣をはじめとする関係大臣へ建議しました。以下では、その概要について説明します。

 地震予知研究は昭和40年、火山噴火予知研究は昭和49年から、当時の文部省測地学審議会(現在の科学技術・学術審議会)が策定した研究計画に沿って、全国の大学や関係機関が協力・連携して推進してきました。「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」(以下、現行計画)開始後2年を終えようとしていた平成23年3月11日に東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)が発生しました。この地震の発生を受け、測地学分科会では、事前にこの地震の発生の可能性を追究できなかったことを真しん摯し に反省し、現行計画の見直しを行いました。見直しの検討には、一般からの意見公募や学協会の意見、さらに、海外研究者からの評価や次期計画に向けた外部評価委員会の意見・提言などを踏まえ、現行計画の残りの期間で早急に取り組む必要がある内容とし、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の見直し」(見直し計画)として取りまとめました。

 現状の地震発生予測研究では、発生履歴が判明している過去の地震については、シミュレーション技術を用いてその発生の特徴を再現することが可能なレベルに達していますが、将来の地震の規模や発生間隔を理論モデルだけから推定することは困難です。プレート境界の広範囲な領域が一度に破壊されるような超巨大地震をはじめ、様々な規模の地震発生を予測するモデルの構築はいまだ研究途上です。特に、陸域から遠く離れた海溝軸付近では観測網が整備されていないため、プレート境界での固着状態の推定は難しく、変動地形学的・古地震学的・地質学的手法による研究成果の情報も不足していたことから、プレート境界での滑りモデルは不完全なものでした。現在でも日本列島では、東日本をはじめとして、東北地方太平洋沖地震の余効的な地殻変動が大規模に進行しており、余震や誘発された地震活動、さらにはいくつかの火山においても活動が活発化しています。こうした現象を的確に把握し、プレート境界の地震発生モデルを再検討することにより、超巨大地震発生の可能性及び超巨大地震に関連した現象について徹底的に解明することが早急に必要です。
 現行計画では、「1.地震・火山現象予測のための観測研究」、「2.地震・火山現象解明のための観測研究」、「3.新たな観測技術の開発」、「4.計画推進のための体制強化」の4項目を柱として推進しており、この考え方は今でも有効です。しかし、超巨大地震に関する観測研究が不十分であったことから、本見直し計画では、現行計画の残りの期間において、現行計画の一部を修正・縮小し、新たに「5.超巨大地震に関する当面実施すべき観測研究の推進」の項目を実施することにしました。

 既存の4つの計画の項目については、5 か年計画の途中であることから、一部を修正して基本的には計画を引き続き推進します。その上で、新たな項目である超巨大地震の項目については、これまで十分な観測研究事例がなかったことから、まず「現象の解明のための観測研究」に重点を置くこととし、次の3項目を柱として実施します。

(1)超巨大地震とそれに起因する現象の解明のための観測研究
 平成23年東北地方太平洋沖地震や今後発生が予想されている南海トラフ沿いなどでの超巨大地震に関する研究を進めます。幅広い時間スケールで、規模の大きな地震の発生サイクルや、サイクルの階層性についての研究を推進します。特に、歴史地震や地質学的なデータなどを重視した過去の地震発生履歴の研究が重要です。また、超巨大地震に先行する各種現象、地震時滑り、余効滑りに関する調査研究も行います。さらに、東北地方太平洋沖地震の本震や余効変動によって生じた日本列島の応力場の変化に伴って、現在でも活発に進行している内陸地震や火山活動などの観測と研究を進めます。

(2)超巨大地震とそれに起因する現象の予測のための観測研究
 現象の推移を予測するためには、超巨大地震の震源域において、陸域と海域の観測による地殻活動のモニタリングを高度化する必要があります。また、低頻度現象である超巨大地震の発生予測に向けて、統計地震学的モデルと震源物理学的モデルに基づく数値実験的手法とを統合した新しい手法の開発を進めます。地震の発生予測については、古地震学的なデータに基づいた事象発生シナリオと分岐確率評価の研究を実施します。さらに、海域の巨大地震に起因する現象として重要な津波に関して、海底地震津波観測網の整備に基づいて得られるデータから津波予測を行うシステムの開発研究を行います。

(3)超巨大地震とそれに起因する現象の解明と予測のための新技術の開発
 海域で発生する超巨大地震を研究するためには、深海型の海底地殻変動観測技術が必要です。また、深海底での地震活動履歴解明のために必要な掘削調査などの技術開発にも取り組みます。

※詳しい内容については下記をご覧ください。
実施内容
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu6/toushin/1328992.htm

(広報誌「地震本部ニュース」平成25年(2013年)1月号)

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