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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 子供たちを津波から守る(気仙沼市)

(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)10月号)





 気仙沼市は宮城県の北東部に位置し、水産と観光を柱に「人と自然が輝く 食彩豊かなまち」を目指し、まちづくりに取り組んでいます。
 しかし、過去には明治・昭和三陸津波などで被災しており、現在は宮城県沖地震と津波による被害が懸念されています。全市民の防災意識を高めることでの減災対策に取り組んできましたが、子ども達には大人になってからも防災意識を持ち続け、防災リーダーを担えるように「未来の防災戦士」のキャッチフレーズのもと教育機関と連携しながら、防災教育に取り組んできています。
 以下、気仙沼市が取り組んでいる文部科学省防災教育支援事業の3点のテーマについて紹介します。


 このシステムは、学校で防災教育の教材として使用することも、家庭での自主学習にも活用ができますが、コンセプト(学習機能)は大別して3つに分けられます。
「事前学習:つなみのことを調べよう」
 津波発生のメカニズム、威力、速さなどについて、イラストなどを用いながらわかりやすく説明します。
また、身の守り方を身につけることも学習できる内容を構成中です。
「補足学習:過去におきた津波、現在の対策」
 過去津波の写真やデータ、また「デジタル語り部」によって実際に昭和三陸津波を体験した方々のお話を聞くことや現在に残る津波の跡を学習することで、自分達の住んでいるまちが過去に津波被害に遭ったことを学び、災害が他人事ではないということを認識するとともに、現在の防災対策を学びます。
「現地学習:フィールドワークに行こう」
 GPS機能付き携帯電話を使用して「オリジナル防災マップ」を作成することができます。
 通学路や学校・家の近隣調査、いわゆるフィールドワークの時に「危険」と感じた所や「ひなん場所」にと考えた所を撮影しメモを付けて送信します(この時に防災データを参照しながら調査することも可能)。これだけでマップを作成することができますが、さらに添付したメモを編集しての詳しい記述や、インターネットを用いての追記・見返しのほか保護者が閲覧することもできます。(防災マップのほか防犯安全マップ等にも使用可)
 知識の習得のみならず、子ども達も楽しみながら取り組めて、そして「データと実地活動の融合」という、これまでにないシステムによって高い学習効果が得られるものと考えています。
 さらに深く学習したい時には、関係機関の協力により「津波ディジタルライブラリ」をはじめとするホームページとリンクすることで、一層深い学習にも応えられます。



 市の教育長を座長とし有識者の先生方を迎えた検討委員会を開催するとともに、教職員により構成する安全防災教育部会との連携により以下の取り組みを行っています。
「防災研修カリキュラム」の作成
 防災教育を担当される教職員向けのカリキュラムで、段階的な研修内容としていますが、講義だけではなくシステムの使用や、各校の事例紹介・意見交換会など、研修が意見交流の場となることを想定して構成しています。
「防災教育プログラム」の作成
 防災教育を実践する上での手引きとなりますが、学齢に応じた目標・ねらいのほか、先生方が参考にしやすいように取り組み事例などを掲載しています。また、学校で防災教育に取り組める時間が異なる点も踏まえた段階的な構成としています。
 あわせて、市の観光キャラクター「ホヤぼーや」を用いたテキスト〔児童(低学年・高学年)・生徒・一般・外国人向け〕も作成しています。




 気仙沼市には「唐桑半島ビジターセンター・津波体験館」という施設があります。
 こちらは、唐桑半島の自然や文化を楽しみながら学べる施設ですが、日本初の津波体験施設でもあり、津波実験装置や災害のパネル展示もしています。
 これまでにも市内の小中学校がここを訪れ、防災教育に活用していましたが、さらに館内シアターでの「ぼうさい講座」には子ども向け・大人向けの2編を用意し、衛星写真によるリアス式海岸の説明や、過去津波の痕跡がわかる地層標本の展示などもしており、子供から大人までの防災教育・研修など、ぜひ多くの皆様にご活用いただければと思います。


 防災教育にどれだけの時間を費やせるかは学校によって異なり、レベルに差が生じるのが課題であり仕方の無いところです。また、防災教育は「どこまでやればいい」ということはなく、継続的な取り組みが大切です。当事業は平成21〜22年度と、現在も改良を重ねているところであり、防災部局・教育部局・地域住民の連携についても体制整備を進めているところです。
 最後にご指導ご協力いただいている先生方に感謝致しますとともに、2月のチリ地震津波での被害に対し、ご心配いただきました全国の皆様に厚く御礼申し上げます。

(広報誌「地震本部ニュース」平成22年(2010年)10月号)

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