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  3. 琵琶湖西岸断層帯の評価の一部改訂

(広報誌「地震本部ニュース」平成21年(2009年)12月号)



 地震調査研究推進本部地震調査委員会は、「琵琶湖西岸断層帯の長期評価(一部改訂)」をとりまとめ、平成21年8月27日に公表しました。ここではその概要を紹介します。  なお、琵琶湖西岸断層帯の評価は平成15年6月11日に公表していますが、その後の調査結果により新たな知見が得られたことから、これらを基に評価の見直しを行い、一部改訂版としてとりまとめました。




 琵琶湖西岸断層帯は、滋賀県高島市(旧マキノ町)から大津市国分付近に至る断層帯で、概ね南北方向に延びます。本断層帯は過去の活動時期の違いから、断層帯北部と断層帯南部に区分されます。
 断層帯北部は、高島市に分布する断層であり、長さは約23kmで、ほぼ南北方向に延びます。断層帯南部は、高島市南方(旧高島町付近)の琵琶湖西岸付近から大津市国分付近に至る断層であり、長さは約38kmで、北北東−南南西方向に延びます。断層帯全体としての長さは約59kmであり、断層の西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層です。


 琵琶湖西岸断層帯の過去の活動は次のようであった可能性があります。

(1)断層帯北部
●最新の活動
 約2千8百年前以後、約2千4百年前以前
●平均活動間隔
 約1千−2千8百年
●1回のずれの量
 2−5m程度(上下成分)

(2)断層帯南部
●最新の活動
 1185年(元暦2年)の地震
 (地形地質調査では11世紀以後、12世紀以前)
●平均活動間隔
 約4千5百−6千年
●1回のずれの量
 6−8m程度(上下成分)


 琵琶湖西岸断層帯は、過去の活動と同様に北部と南部の2つの区間に分かれて活動すると推定されますが、断層帯全体が1つの区間として同時に活動する可能性もあります。
 琵琶湖西岸断層帯北部では、全体が1つの区間として活動する場合、マグニチュード(M)7.1程度の地震が発生すると推定され、その際に断層近傍の地表面では、断層の西側が東側に対して相対的に2−5m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。断層帯北部では、活動間隔の長さと比較して最新活動時期からの経過時間が非常に長いため、通常の活断層評価とは異なる手法により地震発生の長期確率を求めています。そのため、信頼度は低いですが、将来このような地震が発生する長期確率は表の示すとおりとなります。本評価で得られた地震発生確率には幅がありますが、その最大値をとると、断層帯北部は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中では高いグループに属することになります。
 琵琶湖西岸断層帯南部では、全体が1つの区間として活動する場合、M7.5程度の地震が発生すると推定され、その際に断層の近傍の地表面では、断層の西側が東側に対して相対的に6−8m程度高まる段差や撓みが生じる可能性があります。断層帯南部の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は、表に示すとおりです。
 琵琶湖西岸断層帯全体が同時に1つの区間として活動する場合には、M7.8程度の地震が発生すると推定されます。
断層帯全体が同時に活動する場合の確率は、断層帯南部が単独で活動する場合の確率を超えないものと考えられます。


 この度公表した本断層帯の長期評価は、将来発生する地震の規模や可能性について述べています。この評価への理解を深めると共に、地震に対するイメージを持って頂くことを目的に、想定されている地震が発生した場合、どの程度の揺れに見舞われる可能性があるのかについて、計算を行いました。長期評価結果と併せて、防災対策の一助として頂ければ幸いです。
 なお、個別地域の被害想定や防災対策の検討を行う場合は、より詳細な地震動評価を別途行う必要があります。

[解 説]
 図は長期評価結果のような地震が発生した場合に予測される震度分布を示しています。(琵琶湖西岸断層帯南部は長さ約38kmの西傾斜の逆断層ですが、今後30年以内の地震の発生確率はほぼ0%となります。)
 琵琶湖西岸断層帯北部が活動した場合は、滋賀県高島市東部や大津市北部・福井県三方上中郡若狭町の一部に震度6強(薄赤色)の大変強い揺れが予測されています。近江盆地などの琵琶湖沿岸部の一部や、福井県敦賀市から小浜市にかけての河川沿いが震度6弱(橙色)の強い揺れになるほか、琵琶湖沿岸部から福井県南部にかけての広い範囲や京都府京都市・向日市・亀岡市の一部で、震度5強(黄色)の揺れに見舞われます。さらに、平野や盆地は揺れやすいため、震度5弱(黄緑色)の揺れが、遠く大阪平野北部・福井平野・奈良盆地北部・濃尾平野西部の一部に及んでいます。
 なお、実際の揺れは、予測されたものよりも1〜2ランク程度大きくなる場合があります。特に活断層の近傍などの震度6弱の場所においても、震度6強以上の揺れになることがあります。

(広報誌「地震本部ニュース」平成21年(2009年)12月号)

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