新潟県の活断層調査

【櫛形山脈断層帯調査】


 櫛形山脈断層帯は,加治川断層,櫛形山地西方断層などによって構成されます.「新編日本の活断層※1」によれば,加治川断層は,図1に示すとおり北蒲原郡加治川村から同中条町にかけて分布し,櫛形山地西方断層は,北蒲原郡荒川町に分布しています.また,同文献によれば両断層とも,断層の西側が相対的に隆起し,確実度がTで活動度がB級とされます(※1;活断層研究会編,1991:新編日本の活断層−分布図と資料−.東京大学出版会,437p.).櫛形山脈断層帯には櫛形山地東方のリニアメントも含まれますが,これは確実度がUと低くなっています.
 新潟県では,科学技術庁から地震関係基礎調査交付金の交付を受け,平成10〜11年度の2ヶ年の計画で櫛形山脈断層帯に関する調査を実施しています.

図1 調査対象断層の位置図(国土地理院発行地勢図「村上」および「新潟」使用)

1)調査状況


 平成10年度は,断層の分布位置,断層のセンス(動きの向き),活動性(平均変位速度)を把握するために,主に空中写真判読,地表踏査,ピット掘削調査を実施しています.以下に各調査の状況を示します.

(1)空中写真判読

 空中写真判読を行い,地形面区分や変位地形の抽出などを行います.図2にその例を示します.空中写真判読では,断層の分布位置,平均変位速度,断層の活動性などを把握するための基礎資料を得ます.地形面区分は,主として古くは河原などであった段丘面を高度分布や浸食の程度などから区分するものです.変位地形とは,断層変位によって生じた地形をいい,断層崖や横ずれ谷などがあります.

図2 地形面区分の例(加治川村貝塚地区,加治川村発行5千分の1地形図使用) 


(2)地表踏査

地表踏査により,地形面構成層や断層露頭などを確認し,断層の分布位置や性状及び活動性の評価のための基礎資料を得ます. 


写真−1 地表踏査状況(荒川町荒島地区)
地形面構成層の露頭を出し,構成層の層序や火山灰層の有無を確認しています.


(3)ピット掘削調査

 地形面の形成年代を把握するために,地表から深さ2m程度の穴を掘り地層を観察します.これは,地形面の年代と断層運動による変位量から平均変位速度を求めるためです.平均変位速度は,1000年当たりの変位量で計算されることが一般です.この平均変位速度が 1m/1000年 より大きい断層をA級,0.1〜1m/1000年の断層をB級,0.01〜0.1m/1000年の断層をC級の活断層と呼びます.地形面の形成年代を求めるためには,@地形面を構成している地層に挟まれる火山灰層や地形面の上に載っている火山灰層の分析や,A地形面構成層に含まれる木片や腐植物などの炭素同位体年代測定を行います.


写真−2 ピット掘削調査状況(加治川村下小中山地区)
上部の黒く見える地層が耕作土で,その下に地形面構成層であるシルト層や礫層が見られます.



2)調査結果

 平成10年度の櫛形山脈断層帯調査では,空中写真判読,地表踏査,ピット掘削調査などから,断層の位置・長さ,断層のセンス(動きの向き),平均変位速度が推定できました.平成 11年度の調査では,さらに,平均変位速度の精度を上げることや,断層の活動性を把握する目的で,ピット調査,ボーリング調査,トレンチ調査などを計画しています.
 平成10年度の調査結果から推定される加治川断層及び櫛形山地西方断層の性状を以下に示します.

加治川断層


断層の位置・長さ

 

櫛形山脈南西部の北北東−南南西方向に伸びる低地とその西側の丘陵との境界付近及びその北東延長の丘陵に位置し,北北東−南南西方向に伸びる長さ6.4kmの断層です.

断層のセンス

 

地層・地形面の分布状況,風隙の存在,既存ボーリング資料から,リニアメント判読位置もしくはその東側に西側隆起の逆断層が想定されます.風隙とは,過去に河川が流れていたことを示す稜線上のくぼみをいいます.

平均変位速度



 

地形面の分布標高,形成年代から求めた鉛直方向の平均変位速度は,Kj - 3面で0.05〜0.23m/1000年 以上,Kj - 5面で0.08〜0.1m/1000年 以上となります.
Kj - 3面:加治川村付近に分布する8〜13万年前に形成された地形面.
Kj - 5面:加治川村付近に分布する2.4〜2.5万年前に形成された地形面.

 



櫛形山地西方断層


断層の位置・長さ

 

櫛形山脈北西部の北東−南西方向に伸びる西傾斜の緩斜面とその西側の丘陵との境界付近に位置し,北東−南西方向に伸びる長さ3.0kmの断層で,地表付近ではくの字型に屈曲しています.

断層のセンス
 

断層を挟んで分布する地形面の撓みや,断層西側に分布する地形面に逆傾斜が認められることと,地層の分布状況から西側隆起の逆断層が想定されます.

平均変位速度


 

地形面の分布標高,形成年代から求めた鉛直方向の平均変位速度は,Ku - 3面で0.06〜0.1m/1000年 となります.
Ku - 3面:荒川町付近に分布する8〜13万年前に形成された地形面.

 

 

○ただし、この解析及び評価は、新潟県の見解です。


3)問い合わせ先

  新潟県環境生活部消防防災課
  電話:025(285)5511 内線2253
  FAX:025(285)4752


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