2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の後、余震がたくさん起きています。たとえば同年4月7日の夜遅くに宮城県沖で起きたマグニチュード7.2の地震の解説に「この地震は東北地方の地下に沈み込んだ太平洋プレート内で発生した地震(スラブ内地震)と考えられます。」(防災科学技術研究所ホームページより引用)という一文があります。
 『スラブ内地震』とはどのような地震のことを言うのでしょうか? “スラブ”はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、海溝などから沈み込んだ海洋性プレートのことをスラブと呼びます。ですから、スラブ内地震はプレート内地震と言い換えることができます。4月7日に起きた地震はまさに沈み込む太平洋プレート内部で起きた地震なので、スラブ内地震と言うことができます。スラブは英語のslabからきていて、平たい板という意味で、建築業界でよく使われる言葉です。沈み込むプレートが平たい板状になっているのでつけられた名前です。
 日本付近では東北日本の太平洋側から西に向かって太平洋プレートが沈み込み、西南日本の太平洋側から北に向かってフィリピン海プレートが沈み込んでいます。この海洋性プレートが沈み込んでいる地域で起こる代表的な地震として、スラブ内地震のほかに、海洋性プレートと日本列島が乗っている上盤側のプレート境界がずれるプレート間地震、上盤側のプレート内部で起こる地震の3つがあります。プレート境界の地震の代表例が2011年に起きた東北地方太平洋沖地震、上盤側のプレート内部で起こる地震の代表例が1995年に起きた兵庫県南部地震などです。
 では、スラブ内地震とはどんな原因で起きる地震なのでしょうか?平板を沈み込む海洋性プレートだと思い、曲げてみましょう。そうすると、ちょうど曲がったところ(プレートが変形したところ)で“ミシミシ”とひびが入ります。このようにプレートの曲げによって力がかかり、プレートが破断するのがスラブ内地震です。プレート境界型の地震のように、同じような領域が繰り返し破壊されるような周期性は確認されておらず、プレート内部のどこで起きるのか予測するのが難しいため、要注意です。プレート境界型の地震に比べて規模は小さいものが多いですが、中には大きな地震もあります。代表例は1994年北海道東方沖地震(マグニチュード8.2)です。1933年の昭和三陸地震(マグニチュード8.1)は、三陸海岸に津波で大きな被害をもたらしましたが、この地震は日本海溝より東側で起きたスラブ内地震と考えられています。また、1993年釧路沖地震(マグニチュード7.5)などは太平洋プレート内、約100kmの深さで起きた地震です。スラブ内地震はプレートの中、深さほぼ0kmから約700kmまで非常に広い範囲で起きる地震です。