平成9年2月12日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
地震調査委員会長期評価部会における審議事項は以下のとおりであり、現在、 検討・作業中である。
<長期評価部会の審議事項>
(1) 地殻変動、活断層、過去の地震等の資料に基づく地震活動の特徴の把
握
(2) 長期的な観点からの地震発生可能性の評価手法の検討と評価の実施
(3) その他必要な事項
上記の審議事項(1)に対しての報告書を平成9年夏頃を目途にまとめる予
定であり、その方針の骨子は別紙のとおりである。今回の報告書では、一般の理
解を促進するとともに地域防災に資するため、主に行政区分ごとに分けて、その
地域に被害を及ぼす地震という観点から地震活動の特徴を記述することを目指し
ている。また、用語や図表についても、容易に理解できるように工夫する予定で
ある。
地震活動の特徴把握についての報告書作成方針
基本方針
報告書の構成
T.はじめに
目的、経緯等について記述
U.全国の特徴
日本全体について、地震活動の特徴等について記述
V.地方別地震活動の特徴
1.北海道地方 −−− 地方全体の特徴を記述
1−1.発生する地震のタイプについて記述
1−2.被害地震の例について記述
1−3.行政区分毎に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴を記述
(以下、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄地方について記
述)
W.おわりに
今後の課題等について記述
盛り込む内容
・地震活動
歴史地震、被害地震、その特徴や頻度、群発地震、過去の地震の例(最大
余震等)、微小地震、現在の活動
・活断層分布、活動履歴とその様式
・地殻変動(経年的な変動、地震に伴う変動)
・テクトニクス的背景
・上記各項目の事項の説明に必要なら盛り込むもの
地形、地質、地下構造等
・空白域
<検討中の記述内容>
(行政区分毎に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴の記述例)
(注:以下の文例は特定の県のものではない)
○○県に被害を及ぼす地震及び地震活動の特徴
○○県に被害を及ぼす地震は、主に△△プレートと▽▽プレートとの境界付
近で発生する地震と陸域の浅い地震である。
○○県沖から◎◎県沖にかけてのプレート境界付近では、M8クラスの巨大
地震が繰り返し発生してきた。これらの地震の震源域は、○○県では陸域の一部
まで達するため、強い揺れを感じることが多い。また、比較的浅いところで地震
が発生するため、ほとんどの場合津波が発生し、特に@@海岸などのようにV字
型の湾では、地形の影響でさらに津波が高くなることが多い。例えば、19XX
年の□□地震(MX.X)では、県内のほとんどの地域で震度5〜6の揺れを感
じ、また、津波の高さは@@では5メートルとなり、全体として、死者XX名な
どの被害が生じた。この他、19XX年の◇◇地震(MX.X)などいくつかの
被害地震が知られている。また、上記の地震より規模の小さなM7クラスの地震
でも被害を受けることがある。最近の地震活動を見ると、○○県沖から◎◎県沖
にかけてのプレート境界付近では、M7以上の地震が19XX年以降のXX年間
にXX回発生しており、日本の中で地震活動が活発な地域の1つである。
県内の地形を見ると、県東部には○○山地が広がり、海岸に沿ってはXX平
野などが点在する。県内の主要な活断層は、県東部の○○山地とXX平野の境に
はXX断層帯が、県西部の△△川沿いには△△断層帯があり、ともに活動度B級
の逆断層で、南北方向に伸びている。活断層調査によると、△△断層帯は約X千
年前に活動したことがあったと推定されている。
陸域の浅い地震としては、18XX年の**地震(MX.X)や19XX年
の☆☆地震(MX.X)などが知られている。18XX年の**地震はXX断層
帯で発生し、県内で死者XX名などの被害が生じた。この地震により、XX断層
帯の一部であるxx断層では、断層の東側が西側に対して最大約4m隆起するな
ど、一部で地表にずれが生じた。一方、県内に死者XX名などの被害が生じた1
9XX年の☆☆地震(MX.X)については、対応する活断層は見つかっていな
い。このように、M7クラスの被害地震でも対応する活断層が見つからない場合
がある。さらに、活断層帯に関係なく、M6クラスの地震が発生することがあり
、局所的に被害が生ずることがある。
また、19XX年の◎◎地震(MX.X)など周辺地域で発生する地震によ
る被害や1960年のチリ地震津波のように外国の地震による津波被害を受ける
ことがある。