平成9年9月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1997年8月の地震活動について


1 主な地震活動

宮古島北東沖でM6.1の地震があったほかは、特に目立った活動はなく、全般に静穏であった。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

特に目立った活動はなかった。

(2) 東北地方

特に目立った活動はなかった。

(3) 関東・中部地方

○8月9日に埼玉県南部の深さ約70kmでM4.7の地震があった。発震機構はほぼ南北方向に圧縮軸があり、フィリピン海プレートが沈み込む方向に一致している。地震の震源は同プレートの沈み込みに伴う地震の発生層の下部付近にあり、これらのことからフィリピン海プレート内部の地震と考えられる。

○東海地方のGPS観測及び掛川−御前崎(浜岡)間の水準測量の結果には特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

○8月23日に鳥取県西部でM4.0の地震があった。

○6月25日の山口・島根県境の地震(M6.1)による余震は順調に減衰している。

(5) 九州・沖縄地方

○3月26日(M6.3)及び5月13日(M6.2)の鹿児島県北西部の地震による余震活動は、8月中旬から下旬にかけてやや活発になったものの減衰傾向に大きな変化はなかった。

○8月13日に宮古島の北東沖約50kmでM6.1の地震があった。余震は数個観測されているが、大きなものはなかった。

3 補足

○8月23日の鳥取県西部の地震(M4.0)とほぼ同じところで、9月4日にM5.2の地震があり、この地震の3分前にはM4.6の地震があった。発震機構が2つの地震とも東西に圧縮軸を持つ横ずれ断層型であり、余震活動が北北西−南南東方向に配列していることから、これらの地震は左横ずれの断層運動によるものである。なお、この地震の震源域付近では、1989年及び1990年に複数のM5程度の地震を含む活動があった。

○9月8日に東京湾の深さ約110kmでM5.1の地震があった。発震機構が東西方向に張力軸があること、震源が沈み込む太平洋プレートの二重地震面の下面に位置することから、この地震は太平洋プレート内部の地震であると考えられる。