平成9年11月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1997年10月の地震活動について


1 主な地震活動

10月9〜12日に釧路沖で最大M5.6の地震活動、10日に北海道南西沖でM5.1、11日に宮城県沖でM5.1、11日に御前崎沖でM4.9等の地震があった。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○10月9日から12日まで釧路沖でM5程度の地震が5回発生し、この後は散発的になった。このうち最大は9日のM5.6であった。発震機構は、圧縮軸が北西−南東方向の低角逆断層型であり、プレート境界付近の地震と考えられる。この地震は、1952年の十勝沖地震(M8.2)以降、顕著な地震活動が見られない地域で発生した。

○10月10日に1993年の北海道南西沖地震(M7.8)の余震域でM5.1の地震があった。

(2) 東北地方

○10月11日に宮城県沖でM5.1の地震があった。この地震は、震源の深さからプレート境界付近の地震である。

○10月27日に秋田県の深さ約120kmでM5.1の地震があった。震源の深さは二重地震面の上面に相当し、太平洋プレート上面付近の地震である。

(3) 関東・中部地方

○東海地方では、10月11日に御前崎の南方沖約20kmの深さ36kmでM4.9の地震があった。この地震は、9月26日のM4.0の地震とほぼ同じところで発生し、震源の深さからフィリピン海プレート内部の地震と考えられる。

 また、10月21日に静岡県中部の深さ33kmでM4.3の地震があり、震源の深さからフィリピン海プレート内部の地震と考えられる。

 東海地域の地震活動は、1996年半ば以降、M4.0以上の地震回数がやや増加している。

○掛川−御前崎(浜岡)の水準測量によれば、1992年頃からの御前崎側沈下の鈍化傾向が続いているように見える。東海地方のGPS観測の結果には特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

○9月4日の鳥取県西部の地震(M5.2)の余震活動は順調に減衰している。

(5) 九州・沖縄地方

○3月26日(M6.5)及び5月13日(M6.3)の鹿児島県北西部の地震による余震活動は、減衰している。

○10月12日に与那国島北西沖の深さ約130kmでM5.5の地震があった。

○10月31日に西表島南西沖でM5.4の地震があった。

3 補足

○11月1日に神奈川県西部でM3.8、4日にほぼ同じところでM4.0の地震があった。

○11月12日に熊本県阿蘇山付近でM4.3(暫定)の地震があった。