平成9年5月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1997年4月の地震活動について


1 主な地震活動

3月26日の鹿児島県北西部の地震(M6.3)の余震域で4月3日にM5.5、4月5日にM4.9の余震があったほか、1995年10月から群発地震活動のあった松前沖でM4.1の地震があった。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道

○4月24日頃から松前沖で地震活動(最大M4.1:4月26日)が続いている。この海域では、1995年10月から群発地震活動(最大M4.3)があり、1996年4月位まで活発に続いた後、その後は低いレベルの活動が続いていた。今回の地震活動は、従来の活動域内であり、規模のやや大きな地震は活動域南西部に発生している。4月からの活動によって地震回数は一時増加したものの、地震発生状況は断続的であり、また、周辺のGPS観測結果には特段の変化は見られず、従来からの低下傾向を大きく変えるものではない。

(2) 東北地方

特に目立った活動はなかった。

(3) 関東・中部地方

○駿河湾周辺では先月に引き続きM3.0以上の地震はなかった。東海地方のGPS観測の結果には特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

○4月1日に愛媛県西部の深さ48kmでM4.7の地震があり、3日にもほぼ同じところの深さ43kmでM4.9で地震があった。

(5) 九州・沖縄地方

○4月3日に鹿児島県北西部でM5.5の被害地震があり、川内市で震度5強を観測した。また、4月5日にもM4.9の地震があった。これらの地震は、3月26日の鹿児島県北西部の地震(M6.3)の余震域内に位置し、3月の地震の余震である。これらの地震は、本震と同じく東西方向の横ずれ断層運動によるものである。3日及び5日の余震に伴う余震域の拡大は見られなかった。これらの余震の発生に伴って余震回数は一時増加したものの、余震活動は低下傾向に大きな変化はなく、順調に減衰している。

○4月上旬に奄美大島北西沖でM5.5(4月6日)を最大とする地震活動があった。

○4月上旬から中旬にかけて沖縄本島南東沖でM5.6(4月9日)を最大とする地震活動があった。

3 補足(5月1日〜14日までの主な活動)

○5月5日に松前沖でM4.4の地震(1995年の活動開始以降、現在までの最大)があった。4月26日の地震と同じく松前沖の群発地震活動域内の南西部で発生している。

○5月12日に福島県沖の深さ約50kmでM5.5の地震があった。この地震は沈み込む太平洋プレートと陸のプレートとの境界付近に発生したものである。

○ 5月13日に鹿児島県北西部でM6.2の地震があった(別紙参照)。

別紙

1997年5月13日の鹿児島県北西部の地震について

5月13日14時38分に鹿児島県北西部でM6.2の被害地震があり、川内市で震度6弱、宮之城町で5強を観測した。この地震は、3月26日の鹿児島県北西部の地震(M6.3)の震央から南西約5kmのところで発生した。この地震の深さは8kmであり、陸域の浅い地震である。 余震活動の主体は本震の震央から東方向に長さ約10kmにわたって分布している。この他に震央から南方向に長さ約10kmにわたって余震が分布している。余震は14日15時までに80回(内有感地震41回)である。現在までのところ、最大の余震は、14日08時32分のM4.7(暫定)であり、東西方向の余震域内の東端付近で発生した。

今回の地震は、3月26日の地震と時間・空間的に近接して発生していること、3月の地震と同程度の規模であるが、今回の余震活動が3月と比べてやや不活発であることが特徴である。これらから、今回の地震と3月の地震は関連すると考えられ、3月の地震による応力の変化などにより今回の地震が引き起こされた可能性があるが、その発生要因についての詳細は不明である。余震活動は3月の地震と同じく次第に収まっていくと考えられるものの、今後しばらくはやや大きな余震が発生する可能性がある。

なお、この地域で約1ヶ月をおいて被害地震が起こった例には、1968年のえびの地震(M6.1)の1例がある。