平成9年3月5日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

伊豆半島東方沖の群発地震活動について


3月3日0時過ぎから伊豆半島東方沖で群発地震活動が始まり、活発に続いている。

主な活動域は、昨年10月の活動域の東に隣接し、初期の約8時間は汐吹崎の沖合い(深さ5〜10km)で、その後、川奈崎の北東沖合い約2kmを中心とする東西5km(深さ2〜8km)に広がった。地震回数は、5日15時までに3、698回、その内有感地震は105回、現在までの最大地震は4日12時51分のM5.7である。また、3日23時09分の地震(M5.0)では、伊東市で震度5弱を観測した。4日以降微小な低周波地震が観測されている。この群発地震活動に伴い周辺の歪計、傾斜計、GPS、地下水の観測値に変化が観測されている。

この付近は1978年から繰り返し群発地震活動があったが、それらと比較すれば、今回の活動の状況は、1995年9〜10月の活動に近い。1995年9〜10月の活動は、最大M4.5、地震回数は9、436回、活発な期間(有感地震が1日数回以上の期間)は1週間程度であった。

今回の活動の特徴は、初期からM5クラスの活動を含み活発であること、1995年と比較して活動域が小さいことが挙げられる。また、GPS観測によれば初島−小室山間に6cm程度の伸びが観測されており、1995年の活動と同様の変化を示している。さらに、東伊豆の体積歪計も過去とほぼ同様の変化であり、これらの変化は震源域で地殻が膨張していることを示すと考えられる。

また、過去の東伊豆の体積歪の初期の変化速度から今回の活動を推定すると、活動規模は、1995年の活動と同程度かやや大きくなることが考えられる。

この3日間の地震活動、地殻変動等の状況から総合的に判断すると、今後特段の変化が見られない限り、M5クラスの地震が発生する可能性はあるものの、今後数日の活発な時期を経た後次第に低下していく可能性が高い。