平成8年10月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1996年9月の地震活動について


1 主な地震活動

9月9日に種子島南部でM5.7の地震があり、小被害が発生した。9月11日 に犬吠埼の沖合約40kmでM6.2の地震があった。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

9月18日に北海道東方沖でM5.1及びM5.0の地震があった。これら は1994年の北海道東方沖地震(M8.1)の余震である。

(2) 東北地方

9月13日に宮城県沖でM4.7を最大とする地震活動があったほかは、特に 目立った活動はなかった。秋田・宮城県境の余震活動は、順調に低下している。

(3) 関東・中部地方

9月5日に鳥島近海でM6.2の地震が発生し、最大26cmの津波が観測さ れた。9月11日に犬吠埼沖でM6.2の地震があった。

9月5日に鳥島近海でM6.2の地震が発生し、最大26cmの津波が観測さ れた。この地震はM6.2の規模にもかかわらず津波を発生させた地震であるが 、いわゆる「津波地震」ほどには地震波形に長周期成分が認められないことに特 徴がある。これらの点において、1984年6月13日の同海域の地震(M5. 9)と類似している。

9月11日に犬吠埼の沖合約40kmでM6.2の地震があった。本震は、正 断層型であり、余震は同規模の地震に比べて少なく、9月下旬までにほぼ収まっ た。震源の深さが約50kmであることから、太平洋プレート内の地震と考えら れる。周辺のGPS連続観測によれば、地震に伴う変化は見られなかった。

東海地方では、駿河湾の地震活動は静穏であった。掛川−御前崎間のGPS観 測によれば、基線長、上下変動とも特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

9月11日に山口県中部でM4.0の地震があったほかは、特に目立った地震 はなかった。

(5) 九州・沖縄地方

9月4日に種子島近海でM5.0の地震、9月6日に台湾南端の東沖合い約 100kmでM6.6の地震、9月9日に種子島南部でM5.7の地震、9月2 4日に西表島の北西約80kmでM5.7の地震があった。

9月9日に種子島南部でM5.7の地震があり、小被害が発生した。最大余震 は、M3.5で、余震活動は9月中旬にはほぼ収まった。

種子島−屋久島間のG PS連続観測によれば地震に伴う変化は見られなかった。

3 補足(10月1日から8日までの主な地震活動)

10月1日に北海道東方沖でM5.1の地震があった。1994年の北海道東方沖 地震(M8.1)の余震である。

10月2日に千島列島ウルップ島沖でM5.8の地震があった。1995年1 2月の択捉島沖の地震(M7.2)の余震である。

10月5日に静岡県中部でM4.4、深さ約25kmの地震があった。この地 震は、ここ10年あまりではほとんど地震が起こっていないところで発生し、プ レート境界付近の地震と考えられる。地震波の解析によれば、従来からこの震源 の周辺で発生している地震とは発震機構が異なっている。