平成8年5月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1996年4月の地震活動について


1 主な地震活動

全般的に静穏であった。

北海道松前沖の群発地震は、低下傾向にある。

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

群発地震活動が続いている松前沖は4月7日にM4.0の地震があったが、その後は低下傾向である。

1995年10月1日に始まった松前沖の群発地震活動は、昨年12月頃まで活発な活動が続き、松前が北方に約1cm移動する地殻変動が観測された。その後地震活動は、消長を繰り返しながら全体的には低下傾向である。4月7日にM4.0を最大とする活動があったが、以降有感地震の発生はなく、無感地震の回数も群発地震開始以来最低のレベルで推移している。松前周辺のGPS連続観測によれば地殻変動が見られない状態が継続している。これらのことから、今回の群発地震活動は全体的な傾向として収まっていく可能性が高い。

(2) 東北地方

宮城県北部の栗駒山南東で4月5日に始まった群発地震活動は、4月上旬でほぼ収まった。23日岩手県沿岸南部でM5.0の地震があった。

宮城県北部の栗駒山南東で4月5日頃から群発地震活動があったが、集中的に発生したのは4月10日頃までであり、その後の活動は散発的である。この活動の最大は4月7日と9日のM3.8であった。

4月23日に岩手県沿岸南部でM5.0の地震があった。深さは約70kmで、太平洋プレート内(2重地震面の上面)に発生した。

(3) 関東・中部地方

4月19日から24日にかけて栃木・群馬県境付近で小規模の地震活動がやや活発化した。栃木・群馬県境付近は、従来から小規模な地震が多発する地域であり、活動域は足尾から県境周辺で、いくつかの群に分かれて分布している。今期間の活動域は従来の活動域の中の足尾周辺であり、今期間の最大は4月20日と23日のM2.9であった。1994年頃からの一連の地震活動の最大は1995年7月7日のM4.0(今回の活動域の中)である。

新島・神津島周辺で小規模な地震活動が4月9日(神津島付近、最大M2.8)と12〜15日(新島付近、最大M3.8)、及び30日(新島付近、最大M3.5)にあった。新島・神津島周辺から南方にかけての海域は、1991年半ばから活動の活発化を繰り返しており、昨年10月にも神津島から南方約10kmにかけて活発な群発地震活動があった。今期間の地震活動は神津島北部周辺と新島北部周辺で発生している。

東海地方では、4月12日に駿河湾口のトラフ付近の従来活動度が低いところでM3.4の地震が発生した。また、石花海付近で小規模な地震が散発している。石花海付近は以前は活動度が低い場所であったが、1995年5月から活発化している。掛川−御前崎間のGPS観測によれば基線長、上下変動とも特段の変化は見られない。

(4) 近畿・中国・四国地方

4月1日に鳥取・島根県境でM4.0の地震があった。余震活動は4月4日までにほぼ収まった。

(5) 九州・沖縄地方

4月22日にトカラ列島付近の深さ約200kmでM5.3の地震があった。薩南諸島の北西側では、M5からM6クラスの深い地震が1〜2年に1個程度発生している。

3 (補足)

5月(1〜8日)の主な地震活動

5月2日に神津島北部でM4.2及びM4.1の地震があった。5日には新島北部でM3.8を最大とする地震活動があった。4月の活動とそれぞれほぼ同じ場所での活動である。

5月2日に日向灘でM5.1の地震があった。

5月8日に北海道東方沖でM6.0(暫定)の地震があった。1994年の北海道東方沖地震(M8.1)の余震である。