平成7年11月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1995年10月の地震活動について


1 主な地震活動

○10月1日から北海道松前沖で群発地震活動が続いている。

○9月29日から伊豆半島東方沖で活発な群発地震活動が始まり、10月下旬にはほぼ活動が収まった。

○10月6日神津島近海でM5.6の地震が発生した。

○10月18日から奄美大島近海で活発な地震活動(最大M6.7)があった。

2 各地方別の地震活動概況


(1) 北海道地方

○1994年10月に発生した北海道東方沖地震の余震活動は徐々に低下している。

○1993年7月に発生した北海道南西沖地震の余震活動は徐々に低下している。

○北海道松前沖の地震活動

10月1日に始まった松前沖の群発地震活動は、初期に比べてやや低下したもののほぼ横ばい状態で続いている。無感地震回数は概ね約20回/日程度、今までの最大の地震はM3.7で、一部は沿岸部で有感になっている。この間震源分布に特に変化は見られない。また、GPS連続観測にも特に変化は見られない。過去の資料によれば、渡島半島ではしばしば群発地震が発生しており、今回の地震活動もその一環と考えられる。

(2) 東北地方

○1994年12月に発生した三陸はるか沖地震の余震活動は徐々に低下している。

○10月11日福島県沖でM4.4の地震が発生した。

(3) 関東・東海・中部地方

○神津島付近の地震活動

10月6日に発生したM5.6の地震の後、余震は増減しつつも減少を続け、最近はほとんどなくなった。GPS連続観測によれば、地震活動に伴って神津島と三宅島及び新島との距離が縮む地殻変動が観測されたが、その後変化は認められない。以上のことから、今回の地震活動はひとまず収まったと考えられる。しかし、新島−神津島周辺地域は1991年から、M5クラスを含む活発な地震活動が度々発生しているので、今後も同様の活動が繰り返される可能性がある。

○伊豆半島東方沖の地震活動

9月下旬に始まった群発地震はほぼ収まった。熱海から河津に至る水準測量によれば今回の群発地震活動に伴い伊東市南部を中心に約3cmの隆起が見られた。GPS連続観測では小室山と初島の距離が約9cm伸びた。地震回数、地震規模、地殻変動量等から見て今回の群発地震活動は1993年5〜6月のものとほぼ同規模であった。

○10月1日長野県西部でM4.5の地震が発生した。この地域は1984年長野県西部地震以降地震活動が活発な地域である。

(4) 近畿・中国・四国地方

○10月14日に兵庫県南部地震の余震(M4.8)が発生した。このクラスの余震としては、2月18日にM4.9が発生して以来である。この余震以降も引き続き余震活動は低下を続けている。

(5) 九州・沖縄地方

○奄美大島近海の地震活動

奄美大島近海では10月18日にM6.7、19日にM6.6の地震があり、津波が発生した。両者の震源は喜界島の南東約40〜50km、深さ約35〜40kmであった。ほぼ同じ大きさの地震が続いて発生したことが特徴であった。地震波の解析から震源断層は両者とも北西−南東伸張の正断層と推定された。余震の震源は2つの地震の周辺に分布している。震源の位置と震源断層の様式からみて、今回の2つの地震はもぐり込んだフィリピン海プレート内で発生したプレート内地震と考えられる。

余震は減少を続け、最近は有感地震が日に1回程度になった。11月1日にM5.7の地震がほぼ同じ場所で発生したが、余震回数は大きく変わることなく、低下を続けている。

今回の地震活動の経過は、2つの大きい地震とそれに続く余震活動と見ることができ、今後もやや大きい余震があるかもしれないが、次第に収まっていく可能性が高いと考えられる。

○石垣島近海ではM4クラスの地震が10月2日及び10日に発生した。