平成7年12月13日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

1995年11月の地震活動について


1 主な地震活動

北海道松前沖の群発地震活動は、11月23日に最大のM4.4の地震があり、現在なお活動が続いている.また、択捉島沖でM7クラスを含む活発な地震活動があった。

2 各地方別の地震活動状況


(1) 北海道地方

松前沖の群発地震活動が続いているほか、択捉島沖でM7クラスを含む活発な地震活動があった。

○北海道松前沖の地震活動

10月1日に始まった松前沖の群発地震活動は、11月に入り回数がやや減少したものの、やや規模の大きな地震が発生している。現在までの最大の地震はll月23日M4.4で、松前町では震度4であった。群発地震活動は、松前町の沿岸部から南方約10km沖にかけての10数kmより浅いところで継続しており、初期に比べると陸側の活動は低下している。また、GPS連続観測では、10月上旬から松前周辺の基線長に変化が認められる。

過去の資料によれば、渡島半島ではしばしば群発地震が発生しており、今回の地震活動もその一環と考えられる。中でも1919年及び1931年の地震活動は今回の震源域近くで発生したと堆定され、一部震度5相当の揺れを伴う活動もあり、1919年の活動は半年間以上に亘った。

これらのことから、今回の群発活動は今後やや長期に亘ることも考えられる。

○1993年7月に発生した北海道南西沖地震の余震域の北部に11月4日M4.2の地震があった(最近約1年では最大の余震)。

○11月25日択捉島付近でM6.6の地震があり、以降M6クラスの活動が、28日M6.2、12月1日M6.1、3日M6.8と続き、12月4日M7.2の地震があった。これらの地震の震源域は1994年北海道東方沖地震の東北東約100kmにある。12月4日の地震は、プレート境界型地震であったと推定される。その後、M6クラスの余震が数回発生しているが、発生回数は減少している。

(2) 東北地方

三陸はるか沖などでM5クラスの地震活動が数回あったほか、宮城県北部で小規模な活動があった。

○1994年12月に発生した三陸はるか沖地震の余震域の西側でll月2日にM4.7、東側で23日にM5.3など、やや大きい地震があった。また、11月23日に三陸はるか沖地震の余震域から北側に離れたところにM5.0の地震が発生した。

○11月6日宮城県沖でM4.8の地震が発生した。

○11月13日から12月初旬まで宮城県北部で小規模な活動があった。現在までの最大は11月16日のM3.8の地震であり、震源付近では震度3相当の揺れを感じた。

(3) 関東・東海・中部地方

○神津島付近の地震活動は10月6日に発生したM5.6の地震の後、10月中旬頃まで活動が活発であったが、それ以降は地殻変動も収まり、今回の活動は沈静化傾向にある。12月4日には新島付近でM4.3の地震があり、直後にM4クラスを2回含む余震活動が観測されたが、現在はほとんど観測されていない。

新島一神津島付近は、1991年頃からM5クラスを含む地震活動が繰り返し発生している地域である。

○9月下旬に始まった伊豆半島東方沖の地震活動は、10月中頃まで活発であったが、以降は地殻変動も収まり、活動は散発的である。11月はM3以上の地震はなかった。

○長野県西部でM3クラスの活動が続いているほか、長野・新潟・群馬県境でも10月頃から微小な地震が続いている。

○長野・新潟・群馬県境では10月頃ころから、M2〜3クラスのややまとまった活動が続いている。

(4) 近畿・中国・四国地方

兵庫県南部地震の余震は依然続いているが、特に変化は見られない。

○兵庫県南部地震の余震は依然続いており、11月の最大は9日M3.4であったが、地震発生回数に特に変化はなかった。

(5) 九州・沖縄地方

奄美大島付近の地震活動はM4〜5クラスの余震活動が続いているが、活動は低下している。

○奄美大島近海の地震活動は、10月18日にM6.7、19日にM6.6の地震があり、その活動は順調に低下している。11月下旬にはM4クラスの活動が数回発生しているが12月になってからはその活動も散発的である。