平成26年1月15日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2013年12月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 12月31日に茨城県北部でマグニチュード(M)5.4の地震が発生した。この地震により、茨城県で最大震度5弱を観測した。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 12月9日に択捉島南東沖でM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型であった。

○ 12月16日に釧路地方中南部の深さ約80kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

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(2)東北地方

○ 12月27日に岩手県沖の深さ約40kmでM5.0の地震が発生した。この地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型である。

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(3)関東・中部地方

○ 12月3日に千葉県東方沖の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。

○ 12月3日に茨城県沖でM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ型であった。

○ 12月14日に千葉県東方沖の深さ約50kmでM5.5の地震が発生した。また、21日にも、ほぼ同じ場所でM5.5の地震が発生した。これらの地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 12月21日に茨城県南部の深さ約60kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 12月31日に茨城県北部の深さ約5kmでM5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は北東−南西方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。

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(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。

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(5)九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。

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(6)その他の地域

○ 12月18日にマリアナ諸島のごく浅いところでM6.6の地震が発生した。この地震の発震機構は北東−南西方向に張力軸を持つ正断層型であった。

補足

○ 1月2日頃から、千葉県東方沖でややまとまった地震活動がみられている。これまでの最大は、2日に深さ約25kmで発生したM5.0の地震である。この地震の発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
 また、GNSSと傾斜計の観測結果によると、この地震活動と同時期の1月2日頃から、房総半島で非定常的な地殻変動が観測されている。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。
 この領域では、最近では1996年5月、2002年10月、2007年8月、2011年10月にもスロースリップが観測されている。

○ 1月9日に西表島付近〔石垣島近海〕の深さ約70kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 1月9日に茨城県北部の深さ約5kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。


注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
 GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。


2013年12月の地震活動の評価についての補足説明

平成26年1月15日
地震調査委員会

1.主な地震活動について

2013年12月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
  M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ95回(11月は116回)および16回(11月は15回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回(11月は1回)であった。

(参考) M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2012年12月以降2013年11月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 三陸沖  2012年12月7日 M7.3
− 茨城県北部  2013年1月28日 M4.8(深さ約75km)
− 茨城県北部  2013年1月31日 M4.7(深さ約10km)
− 十勝地方南部  2013年2月2日 M6.5(深さ約100km)
− 栃木県北部  2013年2月25日 M6.3(深さ約5km)
− 淡路島付近  2013年4月13日 M6.3(深さ約15km)
− 三宅島近海  2013年4月17日 M6.2(深さ約10km)
− 宮城県沖  2013年4月17日 M5.9(深さ約60km)
− 福島県沖  2013年5月18日 M6.0(深さ約45km)
− 宮城県沖  2013年8月4日 M6.0(深さ約60km)
− 福島県浜通り  2013年9月20日 M5.9(深さ約15km)
− 福島県沖  2013年10月26日 M7.1
− 茨城県南部  2013年11月10日 M5.5(深さ約65km)

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)東北地方太平洋沖地震に伴う地震活動及び地殻変動について

− 東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震発生後の約1年間(2011年3月11日〜2012年2月)と比べ、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下に減少した。その後も余震活動は徐々に低下してきているが、東北地方太平洋沖地震の発生前の平均的な地震活動状況と比べると、余震域におけるM4.0以上の地震の発生数は4倍以上であり、依然として余震活動は活発な状態にある。
 GNSS連続観測結果によると、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間における地殻変動量は、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であった。変動は徐々に小さくなり、最近1ヶ月間では水平方向に最大1cm程度、上下方向には最大1cm程度になっているが、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。
 2004年12月に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(モーメントマグニチュード(Mw)9.1)では、震源域およびその周辺で、長期にわたって大きな地震が発生している。東北地方太平洋沖地震においても、今後も余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。

(4)関東・中部地方

−「12月31日に茨城県北部の深さ約5kmでM5.4の地震が発生した。(以下、略)」:
 この地震のあと、茨城県北部では、1月13日までに震度1以上を観測する地震が20回発生したほか、1月9日にはM4.6の地震が発生した。
 福島県浜通りから茨城県北部にかけての地殻内では、東北地方太平洋沖地震の発生以降、地震活動が活発となった。その後は消長を繰り返しながら徐々に低下しているものの、東北地方太平洋沖地震の発生前の活動と比べ、活発な状況が継続している。

−「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
 (なお、これは、12月24日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地殻活動(平成25年12月24日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。

1.地震の観測状況
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度の低い状態が続いています。

2.地殻変動の観測状況
 GNSS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。

3.地殻活動の評価
 上記観測結果を総合的に判断すると、東海地震の想定震源域におけるプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは今のところ得られていません。
 以上のように、現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません。
 なお、GNSS観測の結果によると「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地方においてもみられています。」

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(5)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(6)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 ①M6.0以上または最大震度が4以上のもの。②内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。③海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。