平成20年9月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2008年8月の地震活動の評価

1.主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 8月14日に北海道東方沖の深さ約65kmでマグニチュード(M)5.4の地震が発生した。発震機構は南北方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(2)東北地方

○ 8月9日に青森県東方沖の深さ約50kmでM5.4の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 8月22日に茨城県北部〔茨城県沖〕の深さ約55kmでM5.2の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 8月20日に茨城県南部の深さ約45kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 8月8日に神奈川県東部〔東京都多摩東部〕の深さ約30kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートの沈み込みに伴って発生した地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。

補足

○ 9月11日09時20分頃に十勝沖でM7.1(暫定値)の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
 浦河で0.2mなど、北海道と東北地方の太平洋沿岸でこの地震による津波を観測した。
 北海道日高地方及び十勝地方の南部を中心とする地域で、この地震に伴う小さな地殻変動を観測した。
 地震活動は本震−余震型で推移している。12日15時までの最大余震は11日09時33分頃に発生したM5.3(速報値)の地震である。
 今回の地震は、平成15年(2003年)十勝沖地震の余震域で発生した。 補足説明へ




2008年8月の地震活動の評価についての補足説明

平成20年9月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2008年8月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ89回(7月は128回)および11回(7月は20回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は0回で、2008年は8月までに16回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2007年8月以降2008年7月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− サハリン西方沖 2007年8月2日M6.4
− 九十九里浜付近 2007年8月16日M5.3,18日M4.8などの地震活動
− ペルー沿岸 2007年8月16日M8.0
− 神奈川県西部 2007年10月1日M4.9(深さ約15km)
− 石川県能登地方 2008年1月26日M4.8(深さ約10km)
− 茨城県沖 2008年5月8日M7.0
− 岩手・宮城内陸地震 2008年6月14日M7.2(深さ約10km)
− 茨城県沖 2008年7月5日M5.2(深さ約50km)
− 沖永良部島付近 2008年7月8日M6.1(深さ約45km)
− 福島県沖 2008年7月19日M6.9
− 岩手県中部 2008年7月24日M6.8(深さ約110km)

本文へ

2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、9月1日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成20年9月1日気象庁地震火山部)

  「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
 全般的には顕著な地震活動はありません。
 静岡県中西部のフィリピン海プレート内ではマグニチュード3.5以上の地震の発生頻度は少なく、愛知県の地殻内では地震活動がやや活発な状態になっています。その他の地域では概ね平常レベルです。
 なお、東海地震の想定震源域周辺では、8月13日に愛知県西部のプレート境界付近で深部低周波地震が観測されました。また、8月25日頃からは、長野県南部から愛知県にかけてのプレート境界付近で深部低周波地震が観測され、現在も継続しています。
2.地殻変動の状況
 全般的には注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
 なお、東海地震の想定震源域周辺では、長野県南部から愛知県にかけてのプレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因すると見られる地殻変動が8月25日頃から周辺の歪計等で観測されており、現在も継続しています。この付近では同様の現象が本年1月にも観測されています。」

−8月8日と30日に福井・滋賀県境付近〔滋賀県北部〕の深さ約15kmでいずれもM4.2の地震が発生した。

本文へ

(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

本文へ

(5)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

本文へ

補足

−9月10日に宮古島近海の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。

本文へ

注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。