平成20年6月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の評価

○ 6月14日08時43分頃に岩手県内陸南部の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.2(暫定)の地震が発生した。この地震により岩手県と宮城県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内の浅い地震である。地震活動は本震−余震型で推移している。6月14日19時までの最大の余震は14日09時20分頃に発生したM5.6(速報値)の地震で、最大震度5弱を観測した。

○ 今回の地震に伴い、岩手県一関(いちのせき)東観測点で1,055gal(東西動成分)など、大きな加速度を観測した。

○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、秋田県湯沢市で東南東方向へ約29cm(速報値)、宮城県栗原市で北西方向に約19cm(速報値)移動するなど震源付近に大きな地殻変動が観測された。

○ 本震の震源過程と余震分布から、破壊は震源域の中程から南南西方向と北北東方向の両方向に進んだと考えられる。

○ この震源域北東部に隣接して北上低地西縁断層帯が存在しており、地震調査委員会はこの断層帯について、全体が一度に活動するとM7.8程度の地震が発生する可能性があるという評価をしていたが、今回の地震とこの断層帯との関係については現時点では不明である。

*:今回の地震に対し、気象庁は「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」と命名した。