平成18年5月10日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2006年4月の伊豆半島東方沖の地震活動の評価



○ 4月17日頃から伊豆半島東方沖で地震活動が始まり、一週間程度、活発な活動が消長を繰り返しながら続き、それ以降は次第に低下してきている。これらの震源は主として、川奈崎東沖合約1km付近から東に延びる東西約4kmの範囲とその東部から南方に延びる南北約8kmの範囲にあり、概ね深さ5km以深に分布している。これまでの最大は21日02時50分頃に東西方向の活動域東端付近で発生したマグニチュード(M)5.8の地震(最大震度4)で、この地震の後、南北方向の活動域で地震活動が始まった。なお、30日に熱海市網代沖でM4.5(最大震度5弱)、5月2日に主たる活動域の東方約10kmでM5.1(最大震度4)と活動域からやや離れた周辺部で比較的規模の大きな地震が発生している。最大地震をはじめ、多くの地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であり、従来からこの付近にみられるものと同様である。

○ GPS観測の結果によると、今回の活動に伴い、伊東八幡野観測点が南西方向に約4cm移動するなど伊豆半島東部沿岸を中心に地殻変動が観測されており、推定される変動源の位置は川奈崎東沖合の活動域と概ね一致している。また、周辺の傾斜計や歪計でも地殻変動が観測されており、これらの観測結果は主として変動源での地殻の膨張を示すものと考えられる。なお、今回の活動に対応する観測値の変化はほぼ落ち着いた状態となっている。

○ 伊豆半島東方沖では、1978年以降、群発地震活動とそれに関連した地殻変動が繰り返し観測されており、今回は1998年4月〜6月の活動以来の活発な活動である。今回の特徴として、最大地震の規模は1997年及び1998年の活動(いずれもM5.9)に匹敵するものの総地震回数は今までのところ少なく推移していること、活動が次第に低下する中で活動域からやや離れた周辺部に比較的規模の大きな地震が複数発生したことが挙げられる。

○ これまでの地震活動・地殻変動状況及びこの地域の過去の地震活動事例から総合的に判断すると、今回の活動は次第に終息に向かうものと考えられる。