平成18年7月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2006年6月の地震活動の評価


1.主な地震活動

6月12日に大分県中部の深さ約150kmでマグニチュード(M)6.2の地震が発生した。この地震により大分県、愛媛県、広島県で最大震度5弱を観測し、被害を生じた。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 6月13日に十勝支庁中部の深さ約85kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震である。 補足説明へ

(2)東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 6月20日に千葉県北西部の深さ約65kmでM4.6の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。また、6月28日には、この西北西側の深さ約110kmでM4.1の地震が発生したが、この地震は太平洋プレート内部の地震である。

○ 6月3日に福井県嶺南地方の深さ約5kmでM4.1の地震が発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 6月12日に大分県中部の深さ約150kmでM6.2の地震が発生し、大分県、愛媛県、広島県で最大震度5弱を観測した。発震機構はプレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。周辺のGPS観測結果には、この地震の前後で、特に変化は認められない。今回の地震は、深く沈みこんだフィリピン海プレート内の地震活動領域の最深部で発生している。1923年8月以降、周辺約50kmの範囲の同様な深さで観測されたM6.0以上の地震は、1983年のM6.6と1978年のM6.0のみである。 補足説明へ

補足

○ 7月1日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.3の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 7月6日に岩手県沖の深さ約35kmでM5.4の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 7月6日に宮城県仙台市付近〔宮城県北部〕の深さ約10kmでM4.3の地震が発生した。

○ 7月6日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.0の地震が発生した。

○ 7月11日に山口県西部の深さ約15kmでM4.0(暫定)の地震が発生した。 補足説明へ


注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。



○2006年6月の地震活動の評価についての補足説明

平成18年7月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

 2006年6月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ71回(5月は56回)および11回(5月は4回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2006年は6月までに6回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2005年6月以降2006年5月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 熊本県天草芦北地方  2005年6月 3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2(深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0(深さ約15km)
− 茨城県沖 2005年10月19日M6.3(深さ約50km)
− 三陸沖 2005年11月15日M7.2
− 日向灘 2006年3月27日M5.5(深さ約35km)
− 伊豆半島東方沖 2006年4月21日M5.8、4月30日M4.5などの地震活動

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

−6月17日に三陸沖でM5.7とM5.6の地震が発生した。発震機構はいずれも西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。 

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、最近は停滞しているように見える。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。最近は、この長期的な変化は、停滞しているように見える。
 (なお、これは、6月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成18年6月26日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
  全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
  東海地域及びその周辺における、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。 」

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。

−6月24日に長野・岐阜県境付近〔長野県南部〕の深さ約10kmでM3.9の地震(最大震度4)が発生した。

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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補足

「7月1日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.3の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。」:
  今回の地震は、2005年8月16日の宮城県沖の地震(M7.2)の余震域北端付近で発生した。この付近では、2005年12月17日にM6.1の地震が発生している。

−7月9日に東京湾の深さ約25kmでM4.2の地震(最大震度3)が発生した。

−7月9日に新島・神津島近海の深さ約10kmでM4.8の地震(最大震度4)が発生した。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。