平成18年1月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年12月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 12月13日に北海道西方沖でマグニチュード(M)5.5の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型である。余震活動は、ほぼ収まりつつある。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 12月2日と17日に、宮城県沖の深さ約40kmでそれぞれM6.6とM6.1の地震が発生した。発震機構はいずれも西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。2日の地震(M6.6)は、8月16日の宮城県沖の地震(M7.2)の南東約10kmで発生しており、これまでの最大の余震と考えられる。GPS観測結果によると、牡鹿半島付近の観測点で、この地震に伴うごくわずかな地殻変動が観測された。17日の地震(M6.1)は、8月16日の地震の余震域の北端付近で発生した。なお、8月16日の宮城県沖の地震の余震発生数は、M6.6の地震後、一時的に増加したが、余震活動状況に顕著な変化はみられない。

○ 12月5日に宮城県沖(2日のM6.6の地震の南東約30km付近)の深さ約25kmでM5.5の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この付近では、2003年10月31日にM6.8の地震が発生している。

○ 11月15日の三陸沖の地震(M7.1)の余震活動は、順調に減衰している。これまでの最大の余震は、11月25日と12月8日に発生したM4.8の地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 12月2日に、茨城県南部の深さ約50kmでM4.2の地震が発生した。また、12月28日には深さ約55kmでM4.8の地震が発生した。発震機構はいずれも北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 12月24日に愛知県西部の深さ約45kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は東西方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部の地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化には、最近やや緩和する傾向が認められる。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 12月4日に奄美大島近海でM6.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。本震発生当日の余震活動は活発であったが、5日以降は順調に減衰している。これまでの最大の余震は、12月4日に本震付近で発生したM5.3の地震である。 補足説明へ

補足

○ 2006年1月1日に福井県嶺北地方の深さ約10kmでM4.1の地震が発生した。

○ 2006年1月11日に根室支庁中部の深さ約120kmでM4.4(暫定)の地震が発生した。 補足説明へ



2005年12月の地震活動の評価についての補足説明

平成18年1月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年12月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ98回(11月は109回)および15回(11月は11回)であった。また、M6.0以上の地震は3回で、2005年は12月までに23回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年12月以降2005年11月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

     − 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1(深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2(深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0(深さ約15km)
− 茨城県沖 2005年10月19日M6.3(深さ約50km)
− 三陸沖 2005年11月15日M7.1

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「12月13日に北海道西方沖でマグニチュード(M)5.5の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型である。余震活動は、ほぼ収まりつつある。」:
 今回の地震は平成5年(1993年)北海道南西沖地震(M7.8)の余震域の北端付近で発生した。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化には、最近やや緩和する傾向が認められる。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られる。最近は、この長期的な変化に、やや緩和する傾向が認められる。
(なお、これは、12月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年12月26日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺における、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動は、最近やや緩和する傾向が認められます。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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補足

−2006年1月1日に鳥島近海でM5.9の地震が発生し、伊豆諸島などで微弱な津波を観測した。この付近では、1984年6月13日にM5.9、1996年9月5日にM6.2の地震が発生し、今回と同様に、M6.0程度の規模にもかかわらず津波が観測されている。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。