平成17年9月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


宮城県沖の地震活動の評価



○ 8月16日11時46分頃に宮城県沖の深さ約40kmでマグニチュード(M)7.2の地震(最大震度6弱)が発生し、東北地方の太平洋沿岸で微弱な津波を観測した(第146回地震調査委員会評価文「2005年8月16日宮城県沖の地震の評価」参照)。活動は本震−余震型で推移し、余震活動は減衰してきている。9月14日16時までの最大の余震は、9月12日04時28分に本震付近で発生したM4.7の地震である。これらの余震は、主として牡鹿(おしか)半島沖合の東西約40km、南北約30kmの範囲内に、太平洋プレートの沈み込みに沿って西傾斜で分布しており、本震はこの南東端に位置している。今回の地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 地震観測による震源過程の解析結果によると、本震の主要なずれ破壊を生じた領域は破壊開始点付近にあったと推定されている。

○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、牡鹿観測点(宮城県石巻市)が約6cm東に移動するなど、宮城県を中心に南東から東方向の移動が観測された。また、牡鹿観測点の約5cmを最大に、牡鹿半島周辺で沈降が観測された。これらのGPS観測結果から推定される震源断層モデルは、本震の発震機構や余震分布と概ね整合している。なお、現在までに顕著な余効変動は観測されていない。

○ 本震の東北東約80km付近では、8月18日頃から地震活動が始まり、24日と31日にそれぞれM6.3の地震が発生するなど活動が活発化した。発震機構はいずれも北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。9月4日以降、地震活動は次第に低下してきており、収まりつつある。

○ 今回の地震は、地震調査委員会が想定している宮城県沖地震の震源域の一部が破壊したものと考えられる。しかし、地震の規模が小さいこと、及び余震分布や地震波から推定された破壊領域が想定震源域全体に及んでいないことから、引き続き地震調査委員会が想定している宮城県沖地震の発生の可能性がある。