平成17年10月12日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会



2005年9月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

○ 9月21日に国後島付近の深さ約100kmでマグニチュード(M)6.0の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部の地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 8月16日に発生した宮城県沖の地震(M7.2)の余震活動は低調ながらも継続している。これまでの最大の余震は、9月12日に本震付近で発生したM4.7の地震である。GPS観測結果によると、本震発生後、わずかな余効変動が観測されている。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 9月20日に千葉県北西部の深さ約70kmでM4.3の地震が発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(6) その他

○ 9月6日に台湾付近でM6.0の地震が発生した。

補足

○ 10月9日に宮城県沖の深さ約70kmでM4.2の地震が発生した。 補足説明へ



2005年9月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年10月12日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年9月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。

M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ73回(8月は112回)および8回(8月は13回)であった。また、M6.0以上の地震は2回で、2005年は9月までに13回発生している。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:

M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回


2004年9月以降2005年8月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

       − 紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
− 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)
− 千葉県北東部 2005年4月11日M6.1(深さ約50km)
− 熊本県天草芦北地方  2005年6月3日M4.8(深さ約10km)
− 新潟県中越地方 2005年6月20日M5.0(深さ約15km)
− 千葉県北西部 2005年7月23日M6.0(深さ約75km)
− 宮城県沖 2005年8月16日M7.2(深さ約40km)
− 新潟県中越地方 2005年8月21日M5.0(深さ約15km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。


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(2) 東北地方

「8月16日に発生した宮城県沖の地震(M7.2)の余震活動は低調ながらも継続している。これまでの最大の余震は、9月12日に本震付近で発生したM4.7の地震である。GPS観測結果によると、本震発生後、わずかな余効変動が観測されている。」:
 海底地殻変動観測の結果によると、今回の地震の前後で、本震震央付近の観測点が東北東方向へ移動するなどの変動が観測された。これらの観測結果は、陸上のGPS観測結果から推定される断層モデルと調和的である。

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(3) 関東・中部地方

「9月20日に千葉県北西部の深さ約70kmでM4.3の地震が発生した。」:
 この付近では、7月23日にM6.0の地震(最大震度5強)が発生している。

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続しているように見える。」:
 GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られた。この長期的な変化の傾向には、2004年9月5日の紀伊半島南東沖の地震以降、一時的にそれまでとは異なった変化が見られていたが、最近では地震発生以前の状況に戻っている。
(なお、これは、9月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年9月26日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 地殻変動については、昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)のM7.4の地震以降、この地震による余効変動と見られる動きが観測されていましたが、最近はこの地震以前の状態に戻り、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動が継続している状況が見られます。 」

関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。

−7月26日から地震活動が活発化した八丈島東方沖(八丈島の東方約250km)では、9月11日のM4.4の地震以降はM4.0を超える地震は発生しておらず、地震活動は低下してきている。


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(4) 近畿・中国・四国地方

−9月4日に伊予灘の深さ約55kmでM4.3の地震が発生した。


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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。


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補足

−8月27日から福岡県筑豊地方の深さ約10kmで微小地震活動が始まり、10月2日にはこれまでで最大のM2.8の地震が発生した。地震活動は10月6日までにほぼ収まった。


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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。