平成17年5月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年4月の地震活動の評価


1 主な地震活動

  4月11日に千葉県北東部の深さ約50kmでマグニチュード(M)6.1の地震が発生し、最大震度5強を観測した。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

4月3日に福島県会津地方の深さ約5kmでM4.5の地震が発生した。本震直後の余震活動は比較的活発であったが、4月11日までにほぼ収まった。
4月4日に福島県沖の深さ約45kmでM5.3の地震が発生した。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

4月11日に千葉県北東部の深さ約50kmでM6.1の地震が発生し、茨城県と千葉県で最大震度5強を観測した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した地震と考えられる。地震活動は本震−余震型で推移し、余震活動は収まりつつある。これまでの最大の余震は4月25日のM3.7の地震である。
4月11日に千葉県北西部の深さ約75kmでM4.4の地震が発生した。
4月17日に千葉県南部の深さ約70kmでM4.4の地震が発生した。
4月23日に長野県北部の深さ約5kmでM4.1の地震が発生した。
4月19日に鳥島近海の深さ約440kmでM6.0の深発地震が発生した。発震機構の圧力軸は太平洋プレートの沈み込む方向とほぼ一致しており、太平洋プレート内部の地震である。
東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続していると考えられる。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

福岡県西方沖の地震活動
  4月20日に志賀島付近の深さ約15kmでM5.8の地震が発生し、最大震度5強を観測した。この地震は、3月20日に発生した福岡県西方沖の地震(M7.0)のこれまでの最大の余震で、玄界灘から志賀島付近にかけての余震域内の南東端付近で発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、この地震に伴う二次的な余震活動が志賀島付近から南東側に約5kmに分布しており、震源断層は北西−南東方向のほぼ鉛直な断層面を持つ左横ずれ断層と推定される。なお、この地震により一時的に活動が活発化したが、全体の活動は本震−余震型で推移しており、余震活動は減衰してきている。
GPS観測の結果によると、4月20日の最大余震の震源に近い海の中道観測点(福岡県福岡市東区)で、この地震に伴うわずかな地殻変動が観測された。
今回の活動の周辺域で顕著な地震活動の変化は認められない。 補足説明へ


補足

5月2日に福岡県西方沖の深さ約10kmでM5.0の地震が発生した。この地震は3月20日に発生した福岡県西方沖の地震(M7.0)の余震である。
5月7日に東京都多摩東部の深さ約30kmでM4.2の地震が発生した。
5月8日に栃木県南部の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。地震活動は本震−余震型で推移しており、本震直後の余震活動は比較的活発だったが、現在は収まりつつある。

2005年4月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年5月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年4月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ76回(3月は98回)および10回(3月は9回)であった。また、M6.0以上の地震は2回であった。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年4月以降2005年3月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

   − 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

− 岩手県沖

2004年8月10日M5.8(深さ約50km)

− 紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
− 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8
− 茨城県南部 2005年2月16日M5.4(深さ約45km)
− 福岡県西方沖 2005年3月20日M7.0(深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な変化は、現在も継続していると考えられる。」:
GPS観測結果によれば、東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動していたが、2001年4月頃から、静岡県西部を中心とする地域の移動について、変化している傾向が見られた。この長期的な変化の傾向には、2004年9月5日の紀伊半島南東沖の地震以降、一時的にそれまでとは異なった変化が見られていたが、最近では地震発生以前の状況に戻りつつある。
(なお、これは、4月25日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年4月25日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 地殻変動については、昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)のM7.4の地震以降、この地震による余効変動と見られる動きが観測されていました。最近ではこの地震以前の状態に戻りつつあり、プレート境界のゆっくり滑りに起因すると思われる長期的な地殻変動が継続していると考えられます。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5) 九州・沖縄地方

−2004年12月に一時活発化した鹿児島県西方沖の浅い地震活動(最大は12月14日のM5.3)は、その後消長を繰り返しながら次第に収まる傾向にあったが、4月18日から4月末にかけて再び地震回数が増加した。4月中の最大の地震は22日のM4.1である。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。