平成17年3月21日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年3月20日福岡県西方沖の地震の評価



3月20日10時53分頃に福岡県西方沖の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.0(暫定)の地震が発生し、福岡県と佐賀県で最大震度6弱を観測した。地震の発生状況から、これまでの活動はM7.0の地震を本震とする本震−余震型であると考えられる。これらの地震は、北西−南東方向に長さ約25kmに分布している。本震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型である。余震分布と本震の発震機構から推定される震源断層は、北西−南東方向のほぼ鉛直な断層面を持つ左横ずれ断層である。3月21日12時までの最大の余震は、20日19時52分頃のM4.7(暫定)の地震(最大震度2)で、余震域の北西端付近で発生した。
 
GPS観測の結果によると、今回の地震に伴い、福岡観測点(福岡県福岡市東区)では南西に約17cm、前原(まえばる)観測点(福岡県前原市)では南に約8cm移動するなど福岡県を中心に変動が観測された。これらの観測結果は本震の発震機構と調和的である。
 
今回の活動域周辺で発生したM7以上の地震は、1700年の壱岐・対馬付近の地震(M7)が知られているのみである。その他の過去の活動としては、1898年の糸島の地震(M6.0,M5.8)、1929年と1930年に福岡県西部でそれぞれM5.1、M5.0の地震が発生しているが、それ以降M5を超える地震は発生していない。
 
余震域の北東側には、余震分布とほぼ同じ方向に延びる長さ数kmの活断層が2カ所に分布する。また、福岡県北部には、北西−南東方向に延びる活断層が複数存在し、これらの活断層のうち、福岡市から筑紫野市にかけて延びる警固(けご)断層が余震域の南東延長付近に位置している。
 
3月21日16時から3日以内に、M 5.5(震度5弱ところによっては震度5強程度)以上が発生する確率は約10%と推定される。