平成17年3月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年2月の地震活動の評価


1 主な地震活動

2月16日に茨城県南部の深さ約45kmでマグニチュード(M)5.4の地震が発生した。この地震により茨城県で最大震度5弱を観測し、被害が生じた。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(2) 東北地方

2月26日に青森県東方沖の深さ約45kmでM5.7の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で太平洋プレート内部の地震である。余震活動は低調で、数日中にほぼ収まった。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

2月8日に茨城県南部の深さ約65kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した地震である。
2月16日に茨城県南部の深さ約45kmでM5.4の地震が発生し、茨城県で最大震度5弱を観測した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震に伴い、付近では余震とみられる若干の地震回数の増加があったが、その後平均的な活動レベルに戻りつつある。なお、2月23日には、この北西側の深さ約50kmでM4.4の地震が発生したが、発震機構より、この地震はフィリピン海プレート内部で発生したと考えられる。
新潟県中越地方で2月20日にM4.1、2月26日にM4.0の地震が発生した。これらの地震は、平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震である。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

2月14日に兵庫県南東部の深さ約15kmでM4.1の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

  目立った活動はなかった。 補足説明へ

(6) その他の地域

2月10日に父島近海でM6.5の地震が発生した。

補足

3月5日に宮崎県南部平野部地方の深さ約50kmでM4.4の地震が発生した。
3月6日に台湾付近でM6.2の地震が発生した。

2005年2月の地震活動の評価についての補足説明

平成17年3月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2005年2月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ70回(1月は100回)および12回(1月は15回)であった。また、M6.0以上の地震は1回であった。

(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
    M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回

2004年2月以降2005年1月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

   − 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2004年5月30日M6.7

− 岩手県沖

2004年8月10日M5.8(深さ約50km)

− 紀伊半島南東沖(東海道沖)
2004年9月5日M7.4
− 茨城県南部 2004年10月6日M5.7(深さ約65km)
− 与那国島近海 2004年10月15日M6.6
− 新潟県中越地方(平成16年(2004年)新潟県中越地震)
2004年10月23日M6.8(深さ約10km)
− 釧路沖 2004年11月29日M7.1(深さ約50km)
− 留萌支庁南部 2004年12月14日M6.1(深さ約10km)
− 房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)
2005年1月19日M6.8

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

−2003年11月29日の釧路沖の地震(M7.1)の余震活動は、引き続き減衰している。GPS観測結果によると、釧路沖の地震の発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。

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(2) 東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「新潟県中越地方で2月20日にM4.1、2月26日にM4.0の地震が発生した。これらの地震は、平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震である。」:
平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震活動は引き続き減衰傾向である。

関東・中部地方では他に次の活動があった。
−1月19日に発生した房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近)の地震(M6.8)の余震活動は引き続き減衰傾向であるが、2月下旬にやや回数の多い時期があった。2月中の最大の余震は25日のM5.1の地震で、余震域の北端付近で発生した。

−東海地域のGPS観測結果に2001年から認められた長期的な地殻変動の傾向には、2004年9月5日の紀伊半島南東沖の地震以降、これまでと異なった動きが見られており、この原因としては紀伊半島南東沖の地震の余効変動等の可能性が考えられる。
(なお、これは、2月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)


(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成17年2月28日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖直下で通常より活動レベルの低い状態が続いていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。

昨年9月5日の東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震M7.4に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されました。地震に伴うステップ状の変動を取り除いた結果には東西成分の動きにこれまでと異なったものが見えています。この原因としては、9月5日の紀伊半島南東沖の地震の余効変動等の可能性が考えられます。 」

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(4) 近畿・中国・四国地方

「2月14日に兵庫県南東部の深さ約15kmでM4.1の地震が発生した。」:
今回の地震は平成7年(1995年)兵庫県南部地震の余震域内で発生した。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
   M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
  1  「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
  2  「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
  3  評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。