平成17年8月17日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


2005年8月16日宮城県沖の地震の評価



○ 8月16日11時46分頃に宮城県沖の深さ約40kmでマグニチュード(M)7.2(暫定)の地震が発生した。この地震により宮城県で最大震度6弱を観測し、被害を伴った。また、石巻市鮎川で0.1mなど、東北地方の太平洋沿岸で微弱な津波を観測した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。活動は本震−余震型で推移している。8月17日14時までの最大の余震は16日11時52分に発生したM4.6(暫定)の地震で、最大震度2を観測した。

○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、牡鹿(おしか)観測点(宮城県石巻市)が約5cm東に移動するなど宮城県を中心に地殻変動が観測されており、今回の地震の発震機構に整合している。

○ 今回の地震の震源は、1978年宮城県沖地震の震源に近く、ほとんどの余震は1978年の余震域内で発生しているが、南側の比較的狭い範囲に留まっている。また、1978年に比べ、地震の規模、観測された津波、及び推定される波源域のいずれも小さい。

○ 今回の地震は宮城県沖地震の想定震源域の一部が破壊したものの、地震の規模が小さいこと、及び余震分布や地震波から推定された破壊領域が想定震源域全体に及んでいないことから、地震調査委員会が想定している宮城県沖地震ではないと考えられる。

○ 8月17日14時から3日以内にM6.0(ところによって震度5弱程度)以上の余震が発生する確率は約10%と推定される。