平成14年2月13日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年1月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○1月19日に、北海道東方沖でマグニチュード(M)5.6の地震が発生した。これは、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○1月27日に、岩手県沖の深さ約50kmでM5.3の地震が発生した。発震機構は、概ね東西方向に圧力軸をもつ逆断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き低調ながらも続いている。

○1月15日に、茨城県南部の深さ約40kmでM4.3の地震が発生した。

○駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、最近は、通常のレベルかやや多い状態となっている。

東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、鈍化の兆しなどゆらぎが認められるようになったものの、その後も、依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○1月4日に、和歌山・奈良県境の深さ約10kmで、M4.0の地震が発生した。この付近では、2001年5月下旬から微小地震の活動が続いており、12月まではM3.0以上の発生が、月に1〜2回程度であった。1月4日にはM3.0以上の地震が15回発生するなど、1月になって活発化したが、徐々に活動レベルは低下してきている。今後も、消長を繰り返しながらしばらく続く可能性が考えられる。

○1月24日に、島根県東部の深さ約10kmで、M4.5の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○12月9日に発生した奄美大島の地震(M5.8)の余震活動は、減衰してきている。

○12月18日に発生した与那国島近海の地震(M7.3)の余震活動は、減衰してきている。 補足説明へ


補足

○2月2日に、新潟県中越地方の深さ約10kmで、M4.3の地震が発生した。

○2月5日に、茨城県南西部の深さ約70kmで、M4.4の地震が発生した。

○2月11日に、茨城県沖(犬吠埼の東方沖約20km付近)の深さ約40kmで、M5.0の地震が発生した。

○2月12日に、茨城県沖(日立市の東方沖約30km付近)の深さ約50kmで、M5.5の地震が発生し、最大震度5弱を観測し、被害を伴った。発震機構は、西北西−東南東方向の圧力軸を持つ逆断層型で、この付近に発生した過去の発震機構と同様である。この地震は沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートの境界付近で発生したものと考えられる。その後の余震活動は低調である。

過去の地震活動を見ると、この付近は、従来から地震活動の活発な地域で、M5.0以上の地震が年に2回程度発生している。最近では、2000年7月21日にM6.4の地震が発生している。



2002年1月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年2月13日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は63回(12月は105回、2000年末までの30年間の月平均は約46回。)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は6回(12月は8回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年1月には、観測されていない(12月には2回)。
2001年1月以降2001年12月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−新潟県中越地方 2001年1月2日M4.4(深さ約10km)

−新潟県中越地方(1月2日の地震から南南東に40kmのところ)


2001年1月4日M5.1(深さ約10km)

−兵庫県北部2001年1月12日M5.4(深さ約10km)

−新島・神津島付近2001年2月13日M3.9(深さ約10km)

−安芸灘「平成13年(2001年)芸予地震」


2001年3月24日M6.7(深さ約50km)

−静岡県中部2001年4月3日M5.1(深さ約35km)

−岩手県内陸南部2001年12月2日M6.4(深さ約120km)

−神奈川県西部2001年12月8日M4.5(深さ約25km)

−奄美大島2001年12月9日M5.8(深さ約40km)

−与那国島近海2001年12月18日M7.3(深さ約10km)

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

「1月19日に、北海道東方沖でマグニチュード(M)5.6の地震が発生した。」
  この地震は、「平成6年(1994年)北海道東方沖地震」(M8.2)の余震である。

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(2) 東北地方

東北地方では、他に、次の地震活動があった。
− 1月29日に、福島県沖の深さ約40kmで、M4.6及びM4.8の地震。

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(3) 関東・中部地方

「駿河湾及びその周辺の地殻内の地震活動はやや活動レベルの低い状態が続いていたが、最近は、通常のレベルかやや多い状態となっている。」:
長期的に見ると1996年頃からやや地震の発生頻度が低下し、2000年10月頃からさらに低下していたが、最近半年程度で見ると、地殻内の地震活動は、若干、発生頻度が高くなっており、2000年10月以前の状態になってきている。
なお、沈み込むフィリピン海プレート(スラブ)内の地震活動は、通常のレベルかやや低い状態にある。
「東海地方のGPS観測結果に認められた、静岡県西部を中心とする地域での微小な変化は、鈍化の兆しなどゆらぎが認められるようになったものの、その後も、依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年1月に入っても継続している。
但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、1月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年1月28日気象庁地震火山部)
「 東海地域において、スラブ内の地震活動は、最近は平常かやや少ない状態です。
駿河湾及びその西岸域の地殻内の地震に活動については、最近は平常かやや多い状態で推移しています。
 また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば昨年から長期的な変化が認められ、最近では鈍化の兆しなどゆらぎも認められるようになりましたが、現在でも依然として継続しているように見えます。現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」

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(4) 近畿・中国・四国地方

「1月24日に、島根県東部の深さ約10kmで、M4.5の地震が発生した。」
この地震は「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3)の余震である。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、その他、次の地震があった。
− 1月12日から13日にかけて、東シナ海で、M5.2を最大とする地震活動。
− 1月16日に、宮古島近海で、M5.6の地震。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。