平成14年8月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2002年7月の地震活動の評価


1 主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2 各地方別の地震活動


(1) 北海道地方

○ 7月25日に北海道東方沖でマグニチュード(M)5.6の地震が発生した。発震機構は、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートの沈み込みに伴う地震である。この地震は、1994年の北海道東方沖地震(M8.2)の余震域内で発生した。

○ 7月28日に十勝支庁南部の深さ約50kmで、M4.8の地震が発生した。発震機構は、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。 補足説明へ

(2) 東北地方

○ 7月1日に青森県東部の深さ約80kmで、M4.3の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部の地震である。

○ 7月24日に福島県沖の深さ約30kmで、M5.7の地震が発生した。発震機構は、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。

○ 7月30日に青森県東部の深さ約100kmで、M4.1の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部の地震である。 補足説明へ

(3) 関東・中部地方

○ 7月13日に茨城県南西部の深さ約65kmで、M4.8の地震が発生した。発震機構は、ほぼ東西に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレートとフィリピン海プレートとの境界付近で発生した地震である。

○ 7月27日に茨城県北部の深さ約60kmで、M4.5の地震が発生した。発震機構は、ほぼ東西に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。

○ 三宅島から新島・神津島付近にかけての地震活動及び地殻変動は、引き続き低調ながらも続いている。

○ 東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。 補足説明へ

(4) 近畿・中国・四国地方

○ 7月16日に京都府南部の深さ約15kmでM4.2の地震が発生した。 補足説明へ

(5) 九州・沖縄地方

○ 7月15日に奄美大島近海の深さ約50kmでM5.1の地震が発生した。この地震はフィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震である。 補足説明へ




補足

○ 8月3日に鳥島近海の深さ約450kmでM6.2の深発地震が発生した。発震機構は、ほぼ西下がりに圧力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部の地震である。



2002年7月の地震活動の評価についての補足説明

平成14年8月8日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

日本及びその周辺域では、マグニチュード(M)4.0以上の地震の発生は73回(6月は57回、2000年末までの30年間の月平均は約46回)観測された。この内、M5.0以上の地震の発生は7回(6月は4回)であった。
 また、M6.0以上の地震の発生は、1998〜2000年の間で、年に平均16回(2000年までの30年間の年平均も約16回)発生している。2002年7月にはM6.0以上は発生しなかった。2002年は6月までに7回発生している。
2001年7月以降2002年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

−岩手県内陸南部 2001年12月2日M6.4(深さ約120km)
−神奈川県西部 2001年12月8日M4.5(深さ約25km)
−奄美大島 2001年12月9日M5.8(深さ約40km)
−与那国島近海 2001年12月18日M7.3(深さ約10km)
−茨城県沖 2002年2月12日M5.5(深さ約50km)
−石垣島南方沖 2002年3月26日M6.6(深さ約10km)
−台湾付近 2002年3月31日M7.0

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2 各地方別の地震活動

(1) 北海道地方

北海道地方では、特に補足する事項はない。

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(2) 東北地方

東北地方では、特に補足する事項はない。

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(3) 関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果に昨年から認められた長期的な変化は、現在でも依然として継続しているように見える。」:
東海地方から中部地方にかけての太平洋側は、フィリピン海プレートの北西方向への沈み込みなどにより、西北西にほぼ一定速度で移動しているが、GPS観測結果では、静岡県西部を中心とする地域において、2001年4月頃から、この移動に、やや変化している傾向が見られるようになり、2002年7月に入っても継続している。但し、変化が加速している様子はない。
(なお、本評価結果は、7月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成14年7月29日気象庁地震火山部)

「東海地域のフィリピン海プレート内の地震活動は、昨年4〜6月の静岡県中部の活動終了以降低い状態でしたが、最近、M3クラスの活動も見られるようになりました。
一方、地殻内の地震活動は、全体としては平常のレベルですが、今年に入って駿河湾沿岸での活動は低下しています。
また、東海地域及び周辺の地殻変動には、国土地理院の観測によれば、昨年から長期的な変化が認められ、現在でも依然として継続しているように見えます。
現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。」


関東・中部地方では、他に次の地震活動があった。
−7月27日頃から長野県北部でM2.3を最大とする地震活動があり、やや衰えながら8月はじめ現在継続している。

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(4) 近畿・中国・四国地方

「7月16日に京都府南部の深さ約15kmでM4.2の地震が発生した。」:
この付近では2001年8月25日にM5.1の地震が発生している。
近畿・中国・四国地方では、他に次の地震活動があった。
−6月に一時的に活発化した和歌山・奈良県境の深さ約10km付近の地震活動は、7月以降も一時的な活動の活発化が見られ、低調ながら続いている。活動は主に従来の領域の南西端で発生している。

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(5) 九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。又は、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。