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論理ツリーの適用

  確率を計算する際に,一つの事象に対して様々な描像が考えられる場合の策として, 論理ツリーを構築して,その分岐毎に確率に「重み」をつける方法がある。

論理ツリーを適用するケースとしては, 着目している断層帯がそれぞれ活動間隔の異なる断層(セグメント)に分かれていて, 地震を起こす起震断層としての各セグメントの組合わせがいろいろ有り得る場合や, 地震発生時期の特定が非常に困難な場合等が考えられる。

カリフォルニアにおける評価[4]においては, 同地域の複数の起震断層に対して, 「カスケードモデル」というモデルが提唱されている。 これは,個々のセグメント毎にあらかじめ今後何年かの地震発生確率を求めておき, 確率の値が重複する分だけ同時に地震を起こすとするものであるが, このモデルは個々の断層の発生確率に非常に依存しており, 複数の断層のうち一つでも確率が低いものがあれば, それがすべての組み合わせについて同時に動く確率を低くしてしまうことになる。

後の3.3.3.2では,このカスケードモデルとは異なる手法[19]を提案する。 その手法では,一つのセグメントの活動に対し,他のセグメントが一定の確率で同時に 活動することを仮定している。すなわち,誘発的な活動が考慮されているが, カスケードモデルではそのような効果は考慮されていない。 その意味で3.3.3.2に提案するモデルはカスケードモデルとは 対極に位置するモデルである。実際の場合の適用については,両者の兼ね合いを 考慮すべきであろう。



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地震調査研究推進本部
Wed Jan 13 17:30:00 JST 1999