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概要

時間予測モデルとは,地震直前の応力レベルが一定である, すなわち断層の破壊強度が時間によらず一定というモデルである。 定性的には,大きな地震の後では次の地震までの間隔が長く, 小さな地震の後では間隔が短いということになる。 このモデルは,世界各地の,同じ震源域から発生する 地震の発生間隔のデータをよく説明するとされている[15, 16]。 このモデルにたった場合, 最新の地震時のずれの量と長期的な断層のずれ速度とから, 最新の地震から次の地震までの期待される経過時間を次のようにして求めることができる。 すなわち,最新の地震時のずれの量を tex2html_wrap_inline5998 とし, 長期的な断層のずれ速度を Vとすると, その期待される経過時間 tex2html_wrap_inline6002 は次式で求められる。

  equation527

上式から,物理的な制約によって,モデルの 確率密度関数に内在するパラメータのうちの一つが固定されることとなる。 したがって,同一の確率密度関数を用いたとしても, 地震発生時刻の系列はもはや更新過程ではなくなるが, 最新の地震に関するデータだけが分かっている場合に 更新過程に代わるものとして用いることができる。

データが複数知られている場合には, Vを使わずに地震予測モデルから tex2html_wrap_inline6002 を 求めることができる。例えば,最新の地震とその一つ前の地震発生時を, それそれ tex2html_wrap_inline6008 , tex2html_wrap_inline6010 とし, ずれの量を それぞれ tex2html_wrap_inline5998 , tex2html_wrap_inline6014 と すれば,

  equation537

と求められる。 この場合には更新過程と時間予測モデルを別々に適用して, 両者の結果を比較検討することも可能となる。


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地震調査研究推進本部
Wed Jan 13 17:30:00 JST 1999